こんにちは。星空案内人の木原です。
夏の暑さが和らぎ、地上の生き物が秋の実りを楽しみに待っている頃、宙ではまだ夏の星座が輝いています。夏を代表する星座のはくちょう座は天高く輝き、地上が夏から秋に変わる様子を見届けているようです。はくちょう座とわし座、こと座が作る夏の大三角の東側のすぐそばで輝く小さな菱形の星座があります。
その星座の名前はいるか座。今回はいるか座のお話です。

いるか座は4等星と5等星で形作られている暗い星座のため、明るい街中よりも暗い郊外のほうが見つけやすいです。菱形からぴょんとツノが出た形はとても可愛らしく、一度見たら忘れないくらい特徴的です。

いるか座はその名前の通りイルカがモデルの星座です。このイルカはギリシア神話に登場します。
古代ギリシアのコリントスには竪琴の名手で知られる音楽師アリオンがいました。
ある日アリオンはシチリアでの音楽祭のコンテストに出場し、見事優勝します。アリオンが多くの賞金と賞品を手に入れた帰り道、コリントスに向かう船に乗り、沖に出たところで事件が起こります。
いきなり船乗りたちがアリオンに剣を向けて「金を出して死んでもらう」と脅します。武術の心得のないアリオンは潔く海に身を投じる覚悟を決め、最後に一曲だけ竪琴を弾きたいと願います。
船乗りがそれに応じアリオンが演奏を始めると、美しい調べを聴きつけたイルカたちが船の周りに集まってきました。
演奏を終えてアリオンが海へ身を投げ入れると、集まっていたイルカたちがアリオンを救い上げ、無事にコリントスまで届けたそうです。
この行動が称えられ、いるか座が出来たと伝わっています。

日本ではいるか座の和名として、菱形に見えることから「ヒシボシ」、「ヒシガタボシ」と呼ばれていた記録が残っています。他にも熊本地方では、織物を織るときの道具「梭(ひ)」に見立てて「ヒボシ」、「ヒノホシ」と呼んでいた記録が残されています。さらに天草市の民俗誌にはヒノホシにまつわる伝承が記されています。
インカイ様という犬飼いの畑仕事を見ていた織女がその仕事の横着ぶりに怒り、機織りに使っていた梭を投げつけました。その時投げた梭がヒノホシになったそうです。
インカイ様はわし座にある星、織女はこと座のベガのことで、実際の星空でもベガが投げた梭はわし座の横で輝いています。カップルの些細なケンカが星空で見られると思うと、星座たちの人間味が感じられます。


木原美智子
星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。
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