カシオペヤ座

月と星 2021.11.26

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こんにちは。星空案内人の木原です。

穏やかな星空が広がる季節になりました。目立つ星は少ないですが秋の星座ひとつひとつに壮大なストーリーが込められているため、まるで劇が上演されているような星空に出会うことができます。
秋の舞台の出演者の代表的な星座のひとつがカシオペヤ座です。Wの形をした星の並びは特徴的で見つけやすく、北極星を探すときの目印にもなっているので名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。今回はカシオペヤ座にスポットライトを当てたいと思います。

カシオペヤ座のWの形をした星の並びは、街中でも目を凝らせば見つけることができます。
星の綺麗な場所に行けば、カシオペヤ座の背景に天の川の姿も確認できるはずです。秋の天の川は夏ほど濃くないため馴染みはないかもしれませんが、カシオペヤ座の位置に流れるぼんやりとあかりを放つ秋の天の川は、静かな秋の雰囲気にぴったりです。

カシオペヤ座のモデルとなったのは、古代エチオピア王国の妃カシオペヤです。
ギリシア神話では、彼女の傲慢な一言で海の神が怒り、娘アンドロメダの命が危うくなる話が出てきます。この話が勇者ペルセウスの武勇伝にも繋がっていて、一連の物語の登場人物が秋の星座になっています。物語の中では「余計な事を言って娘を危険にさらした母」のイメージですが、彼女の発言がなければアンドロメダとペルセウスが運命的な出会いをすることがなかったので物語のキーパーソンなのかもしれません。

カシオペヤ座などの秋の星座たちの物語が気になる人は「秋の星座の神話」で検索するとたくさんのサイトが出てくると思うので、調べて楽しんでみてください。

星の神話というと古代ギリシアの物語が有名ですが、日本にも独自の伝承が残されています。
昔の日本では、カシオペヤ座を2つの山が並んでいる様子に見立てていました。そして、この山から天の川が流れ出ているように見えるためカシオペヤ座は天の川の源流であると考えられ、カシオペヤ座の山には神様が住んでいると伝わっていたようです。

山あいを縫うように川が流れている地形が多くあり、山岳信仰も多くの地域で息づいている日本ならではのカシオペヤ座の見立て方だなと思います。地上の山の神様に集落の平和と豊かさを祈るように、宙の山にも神様がいると信じてこの時期はカシオペヤ座にも願いを込めていたのかもしれません。星はいつも宙から私たちを見守ってくれています。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

そらと

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