箒星ほうきぼし

月と星 2023.03.25

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こんにちは。星空案内人の木原です。
流星群の時期になると話題になる流れ星。私たちは彗星が残していったチリが地球の大気に突入したときに起こる発光現象を流れ星として楽しんでいます。今回は、流れ星をもたらす彗星のお話です。

彗星は和名で箒星(ほうきぼし)と言います。名前の通り、星が箒のように尾を引いている姿が特徴の天体です。毎年同じ時期に同じ方角で姿を見せてくれる星座などとは違って、いつ明るい彗星がやってくるかは予想が難しく、まだまだ謎に包まれた天体です。

謎多き天体ですが、地球と同じ太陽の周りを回る、太陽系一家の一員であることは分かっています。太陽の周りを回る彗星のうち、一周するのにかかる時間が数年のものもあれば、数万年かかるものまで幅が広く、一度太陽に近づいたらそれっきり戻って来ないタイプの彗星もあります。

彗星の大きさも数kmほどととても小さいため、近くまでやってきても暗くて観察するのがとても難しい恥ずかしがり屋さん。大きな望遠鏡や専門的な機器を使ってやっと観察できるものばかりなので、よく映画やアニメに登場するようなとても明るい肉眼で見えるほどの彗星が現れることはなかなかありません。

宙で皆が楽しめるような彗星が見られるのは数十年に1度ほど、と言われるくらいなので、もし目で観察できる彗星がやってくるニュースを見たら、絶好の機会です。なるべく宙の暗い場所へ双眼鏡を持って彗星観察に出掛けましょう。もちろん観察は安全第一でお願いします。

彗星は、誕生した頃の太陽系の様子を知る手がかりを持っています。彗星のふるさとと言われている場所が2つあり、一つは「エッジワース・カイパーベルト」という海王星の外側にある領域。もう一つは、まだ発見されていませんが地球と太陽の距離の1万~10万倍離れたところで太陽系を球体状に包むように存在していると言われている「オールトの雲」という空間です。

太陽系の天体は、氷や塵、ガスが集まって成長してできたと考えられています。エッジワース・カイパーベルトとオールトの雲には太陽系誕生当時のまだ小さな塵やガスが残っていて、そこで出来た塊が何らかの拍子で太陽に向かって旅を始め、軌道を描くようになったものが彗星だと考えられています。彗星は太陽系ができた頃の情報を持っている貴重な天体なのです。太陽系の歴史を伝える使者である彗星が、いつ姿を見せてくれるかは分からないところに宇宙のロマンも詰まっています。

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木原美智子

星空案内人
広島県出身。瀬戸内の宙を見て育ちました。好きな季節は、コスモスが咲き、凜とした空気が漂う秋。宙を見上げるのが好きなので、星だけじゃなく宙にあるもの、宙に関わる文化に興味があります。ペンギンと野球も好き。

そらと

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