こんにちは。和暦研究家の高月美樹です。
梅雨明けが近づき、和暦ではそろそろ水無月(別名、蝉の羽月)に入ります。
かさねの色目の「蝉の羽」は檜皮色(ひわだいろ)と呼ばれる茶色と深い緑の組み合わせ。色濃くなった夏の緑と幹の木肌を思わせるような配色です。

ところで、セミの一生には梅雨が大きく関係していることをご存知でしょうか。
夏のセミは樹皮に隠すように卵を生みます。卵はそのまま冬を越し、翌年の梅雨の頃、孵化します。孵化した小さな幼虫はすぐに地上に落下し、地中にもぐりこみます。雨の日は落下しても衝撃が少なく、湿ったやわらかい土を掘って、土中にもぐることができるのだそうです。セミによっては秋雨で孵化するものもあり、いずれにしても雨が重要な気象条件になっているようです。

地中にもぐったセミの幼虫は木の根っこに小さな口をさしこんで、栄養をもらいながら大きくなり、何度も脱皮を繰り返しながら数年かけて成長します。樹木は地中でたくさんのセミを養っているんですね。セミが好きな木はサクラ、ウメ、カキなど。セミの種類によっても異なるようです。

長い年月を地中で過ごすことで知られているセミですが、日本のセミは2〜6年と色々です。アブラゼミやミンミンゼミは5、6年くらいが多く、環境や条件によって、1、2年ずれることもあるようです。そして、ちょうど梅雨明けの頃、天気のいい日の夕方、地中から這い出てきます。

地上を歩いて近くの木を探し、よじのぼって羽化を始めますが、樹木が伐採されて、なくなっていたりすると、羽化できる安全な場所を探せないまま、死んでしまう運命にあります。最近はブロック塀で抜け殻を見つけることも。
セミが羽化するのは敵に見つからない時間帯、夕方から夜にかけて。セミの羽化はなんとも神秘的です。乳白色から次第に美しいひすい色に変わる翅(はね)は、虫嫌いの人でも思わずみとれてしまう美しさ。夜目にもボーッと輝いてみえます。翌朝、濡れた羽がしっかり伸びて飛べるようになる頃には、このひすい色は消え、茶色の筋を持った透明な羽に落ち着いてきます。

都会の街路樹でもたくましく生きるセミですが、「樹木と雨」なくしては、セミは存続できません。梅雨どきに順当な雨が降らなければ、孵化した幼虫が地中にもぐる機会を逸してしまうことになりますし、羽化には順当な梅雨明けも必要です。
セミの抜け殻を見つけたとき、その近くの地面を探せば、必ず丸い大きな穴があいているのを見つけられます。よくみると樹の下にたくさんの穴があいていて、一本の樹にびっしりと抜け殻がついていることがあります。ずいぶんたくさんのセミを養っていたものだと、驚かされます。

樹木はセミがとまり、卵を産みつける場所を提供しているだけでなく、地中でもセミたちに栄養を分け与え、育てていることを思い出していただければと思います。

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