1月のいろ #にっぽんのいろ

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日本の自然や文化から生まれた美しい伝統色。周りを見渡せば、いろいろな場所に日本の色を見つけることができます。このページでは、Twitterで毎日配信している「にっぽんのいろ」を、月ごとにまとめました。心落ち着く色や、元気が出る色、優しい色、自分に似合う色。ぜひお気に入りの「にっぽんのいろ」を見つけてみてください。

銀朱(ぎんしゅ)
太陽や炎の色を連想させるような黄みのある鮮やかな赤色です。その鮮烈さから、古くから神聖視されるものに使われてきました。五重塔や金堂などは今もまばゆい朱に染まっています。みなぎるエネルギーを感じますね。

薄紅梅(うすこうばい)
中国から輸入された梅は平安時代に入り、身近なものになったそうです。濃い紅花染(べにばなぞめ)は高価でしたが、薄紅梅は庶民にも親しまれました。梅の淡い花弁のような優しい色が、春の訪れを予感させてくれますね。

常盤色(ときわいろ)
常に変わらないことを指す「常盤」を名前に冠します。松や杉のように、緑色の葉を絶やさない常緑樹を「常盤木(ときわぎ)」と言いますが、その葉のような少し茶みのある深い緑色は、まるで永遠不滅のシンボルのようです。

墨(すみ)
墨は最も古い色材といわれます。火を使う原始的な暮らしの中で、天井などに溜まった煤を集めて色材にしたことが始まりで、フランスのラスコー洞窟の壁画にも使われています。心を落ち着かせてくれるような静寂が素敵ですね。

朱色(しゅいろ)
明るく鮮やかな黄み寄りの赤は、中国の陰陽五行説で五色の正式な色の一つとされました。日本でも権威を象徴する色とされ、江戸時代には朱は大変貴重な顔料でした。「ジャパニーズ・レッド」といえば朱塗りの漆器の色を指します。

鉄紺(てつこん)
少し緑を帯びた暗い青色からは、重厚感が漂います。藍染を繰り返してできる「紫を帯びた紺」と区別するために、鉄紺と呼ばれるようになりました。鉄のようなたくましい質感と藍色の物静かな色合いが魅力を高めています。

黄支子(きくちなし)
「支子」とも書くクチナシは古くから、衣類や食べ物の染色に使われてきました。色名として定着したのは平安時代以降で、特にクチナシだけで染めたものを黄支子と呼んでいます。優しくも、芯のある黄色が上品で華やかですね。

羊羹色(ようかんいろ)
黒や濃紫があせ、ほどよくとろけて少し赤みがかった甘い雰囲気が漂います。褪色(たいしょく)した僧侶の衣や放浪の旅を続ける侍の袴の色として使われることが多く、甘みだけでなく、渋みも感じられる美しい色です。

山鳩色(やまばといろ)
色名は、山に住むアオバトの青緑色の羽に由来します。室内では薄茶色に見え、太陽の光のもとでは生命感あふれる緑色に変化します。平安時代には公家のみが着用を許された「禁色」とされ、気品を感じさせてくれます。

浅縹(あさはなだ)
澄んだ湖面のように、明るく淡い色合いが神秘的です。別名「薄縹(うすはなだ)」とも言います。平安時代の法令集『延喜式(えんぎしき)』によると、濃さによって四段階に決められた縹色のなかでも、最も薄く染められた色です。

天藍(てんらん)
色名の「天」は限りなく美しいことを指します。藍色の中でも最高の美しさを誇る色だと考えられるのも納得ですね。空気が澄んだ冬の日に、伸びやかに晴れ渡った青空のような、静寂の中にも明るさを兼ね備えた色合いです。

濡羽色(ぬればいろ)
青く艶のある黒は、水に濡れて黒さが際立ったカラスの羽のよう。水に濡れることで乱反射がなくなり、元の色が一層強調されたように見える「濡れ色」の一種です。日本女性の美しい黒髪を表すときにも使われる神秘的な色です。

宍色(ししいろ)
イノシシやカモシカなどの肉の色を指していたことから「肉色(にくいろ)」や「人色(ひといろ)」とも呼ばれました。明るく健やかな色合いから、仏像の彩色にもこの色が使われました。

璃寛茶(りかんちゃ)
江戸時代、歌舞伎役者たちの茶色好きをきっかけとして、江戸の町では茶系の色が流行しました。色名は文化・文政時代の歌舞伎役者、二代目嵐吉三郎(俳優名は璃寛)が舞台衣装に好んで使っていたからとされています。

小豆色(あずきいろ)
古くから小豆は食用として栽培され、人々の生活に欠かせないものでした。黒を含む暗い赤の小豆色は「赤小豆」の豆の色に由来します。小豆は『古事記』にもその名が見られますが、色名となったのは江戸時代からだそうです。

鳶色(とびいろ)
空に羽ばたくトビ(トンビ)の羽のような濃い焦茶色です。悠然とした風格が魅力的ですね。江戸時代には茶系の代表色とされ、男性の反物の色として人気を集めました。この色をベースに紅鳶(べにとび)など新色も誕生したそうです。

鉛色(なまりいろ)
青みがかった鈍い灰色は、鉛の色に似ています。西欧化が進む明治時代以降に色名が広まりました。「鉛色の空」や「鉛色の海」など雲が垂れ込めて淀んだ空や、濁った海などの暗鬱とした景色を表現するときに使われます。

枯色(かれいろ)
枯れた草木のような深く渋い黄色です。江戸時代には冬枯れの景色を楽しむ「枯れ野見」が行われるなど、日本人は枯れ野を愛でてきました。四季折々に変化する自然を敏感に感じ取った、日本人らしい感性が光る色ですね。

雪色(せっしょく)
その名の通り、雪の色を指し「雪白(せっぱく)」ともいいます。雪は青い光を多く放ち、表面のでこぼこが影の気配を漂わせます。そんな光の影響を受け、決して純白ではなく、ほのかに青みがかった灰色の色みが生まれます。

薄鈍色(うすにびいろ)
鈍(にび)には、渋いという意味もあります。薄く渋い青みが入った灰色は、見ているだけでなんだか心が落ち着くようですね。平安時代には近しい人に不幸があった時に、喪に服する気持ちをこめて着用した色だったそうです。

檳榔子黒(びんろうじぐろ)
檳榔子とは、インドから東南アジアの熱帯に生える植物「ヤシ」のこと。奈良時代に輸入され、南北朝時代に染色に利用されるようになりました。この檳榔子の実を煎じた液で染めることで、青みが深く美しい黒が生まれます。

空五倍子色(うつぶしいろ)
喪服や、お歯黒という風習にも使われた黒色です。白膠木(ぬるで)という木にできる虫のこぶ「五倍子(ふし・ごばいし)」で染めています。特に、虫が卵を産んだ後の殻が使われ、中が空洞なので「空五倍子」と呼ばれました。

東雲色(しののめいろ)
少しずつ変化する夜明けの東の空のような、ほのかな黄赤が美しいですね。茜色が少し淡くなり、霞みがかった感じが特徴です。春はほんのり紫がかって見えるなど、季節によって見え方も様々。思わずうっとりしてしまいます。

鳩羽鼠(はとばねず)
キジバトの背の羽色から名付けられました。ぼんやり紫がかった色彩度の低い鼠色をしています。派手な色を身につけることが禁じられた江戸時代、神秘的な灰色は当時の庶民の心をつかみ、好んで使われるようになりました。

丹色(にいろ)
やや茶色がかった渋い赤色には、強さだけでなく優しい雰囲気も漂います。色の範囲は狭くなく、丹頂鶴の頭の赤さも、この色名で表されています。魔除けや厄除けの色として、神社仏閣の柱や梁などにもよく用いられます。

憲房色(けんぼういろ)
京都の有名な染匠、吉岡憲房によって考案された橙みのある黒色です。憲房は吉岡流剣法の祖でもありました。江戸時代初期には、室町時代から続く「武」を大切にする精神が色濃く残っており、そこで生まれた勇ましい色です。

消炭色(けしずみいろ)
黒に近い色ですが、橙みのある暗い灰色で墨色ほど深い黒ではありません。炭火に水をかけた際に、被っていた灰が飛ぶことで現れる「消し炭」のような澄んだ色です。英名では「チャコール・グレー」とも呼ばれます。

藍鼠(あいねず)
渋い灰色の中に藍が見え隠れして大人びた雰囲気が漂います。様々な茶色や鼠色が流行った江戸時代の「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」の一色です。贅沢を禁止された江戸庶民の間で流行ったいなせな色ですね。

媚茶(こびちゃ)
深く渋みのある味わい深い黄色です。色名の由来は「昆布茶(こぶちゃ)」がなまって、語呂の良い「こびちゃ」になったことから。また、媚びることができるほど艶っぽい色だったことから「媚」の字が当てられたそうです。

飴色(あめいろ)
透明感のある橙色は、まるで上手に出来上がったべっこう飴のようです。美しくも温かい輝きが、ほのかな甘みを感じさせますね。大切に手入れされた道具の色を表す時にも使われ、丁寧な時間の積み重ねを表す色でもあります。

紫紺(しこん)
紺色がかった暗めの濃い紫色は、天皇の即位の礼で掲げる旗「旛(ばん)」にも用いられてきた由緒のある色です。今では優勝旗の色としても馴染み深いですね。反対色の黄色や金色を引き立てることもできる高貴な存在です。

いかがでしたか?1月のにっぽんのいろは、1年の始まりを感じさせてくれる色がたくさん。お気に入りの色を見つけられたら、「#にっぽんのいろ」の#タグをつけて、TwitterやInstagramなどで教えていただけたら嬉しいです。

にっぽんのいろが、本になりました!『365日にっぽんのいろ図鑑』

季節に合わせた日本の伝統色を1日1色365色、名前の由来や色にまつわる物語を写真とともに紹介します。

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