2月のいろ #にっぽんのいろ

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日本の自然や文化から生まれた美しい伝統色。周りを見渡せば、いろいろな場所に日本の色を見つけることができます。このページでは、Twitterで毎日配信している「にっぽんのいろ」を、月ごとにまとめました。心落ち着く色や、元気が出る色、優しい色、自分に似合う色。ぜひお気に入りの「にっぽんのいろ」を見つけてみてください。

利休鼠(りきゅうねず)
緑がかった渋い灰色は、茶道の大成者「千利休」にちなみます。利休を仰ぐ茶道では、茶葉の色を「利休」と呼んでいます。江戸時代に流行した灰色と、利休の緑を掛け合わせることで誕生しました。眺めていると心が安らぎますね。

砥粉色(とのこいろ)
ほのかに温かい黄色は柔らかい印象です。砥粉とは、砥石を切り出した時に出る砥石の粉末のこと。かつては、板の色付け、漆器の下塗り、刀剣類の研磨など日常生活に身近なものでした。粉にも色を見出す精神には驚かされます。

紅梅色(こうばいいろ)
梅の花は早春のシンボルでもあります。紫がかった紅色の慎ましやかな美しさは、古くから人々に愛されてきました。古い王朝の詩歌や『源氏物語』にも多く登場します。雪の舞う空に映える梅の蕾は、美しい絵画のようですね。

若草色(わかくさいろ)
淀みがなく、清々しい黄緑色です。大地に芽生えた瑞々しい小さな芽が懸命に伸びようとする様子は、無限のエネルギーを感じさせてくれます。新しい季節への希望に満ちた輝かしい色から、明るい未来が想像できますね。

臙脂色(えんじいろ)
深く紫がかった濃い紅色の艶やかさが、人々を魅了してやみません。腹の奥底から煮えたぎるような情念を思わせる「モダンカラー」として流行しました。与謝野晶子の『みだれ髪』では、情熱的な表現として用いられています。

白梅色(しらうめいろ)
ほんのり桃色に色づいた白梅のような色に癒されますね。楚々とした印象が人々を虜にしてきました。俳聖、与謝蕪村(よさぶそん)は辞世の句に白梅を詠んでいます。無垢を象徴する白に近く、神秘性を醸し出しているようです。

藍白(あいじろ)
青みのある白色は、藍で染めた色の中でも特に淡さの際立つ色です。たった少しの藍が入ることで、白が白でなくなることから別名「白殺し」とも呼ばれる面白い色です。実は東京スカイツリーの外観の色にも使われています。

鶯色(うぐいすいろ)
美しい声で春の訪れを告げる鶯は「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれています。その鶯の羽毛のような、ややくすんだ黄緑色が優しい色合いです。現代では鮮やかな黄緑色が使われがちですが、実際の鶯は茶色に近い色をしています。

玉子色(たまごいろ)
明るく濃厚な黄色は卵の黄身のようです。庶民の間で卵を食べる習慣が定着した江戸時代から使われるようになりました。色味は生卵の黄身、ゆで卵の黄身、殻の色など諸説ありますが今では食卓に欠かせない美味しい色ですね。

萌黄色(もえぎいろ)
目を見張るような冴えた黄緑色が鮮烈な印象を与えます。若草の色にも例えられ「若さ」を象徴する色でもあります。戦国時代の若武者は、この色の直垂(ひたたれ)を身に着けていたそうで、生命力と力強さがあふれています。

小町鼠(こまちねず)
柔らかく明るい色調には上品さが宿ります。鼠色が流行した江戸時代、印象のはっきりしなかった「薄鼠色」に「小町」という人物名を付けて、若者向けの色として売り出しました。流行を作り出した江戸の人の粋を感じますね。

新橋色(しんばしいろ)
由来は、東京新橋の芸者が好んだことから。独特の艶っぽさから、美人画に使われるなど、明治時代末期から大正時代に流行しました。華やかな空間で誕生した色は、見る人を楽しい気分にしてくれる享楽的な魅力を持っています。

薄香(うすこう)
淡く渋い橙色は、良い香りのある木「香木(こうぼく)」の一種「丁子(ちょうじ)」で染めています。輸入品の丁子は、当時は高価なものでした。染めた後も良い香りが残ることから色合いだけでなく香りも想像して楽しめますね。

樺色(かばいろ)
「樺」は山桜の一種「樺桜」の樹皮を指します。湿地に生えるガマ科の単子葉植物「蒲(かば・がま)」の穂の色に近いため「蒲色(かばいろ)」と表記されることもあります。渋く強い黄赤色は二つの植物に由来する珍しい色です。

浅緑(あさみどり)
春に芽吹く若葉を思わせるような淡い緑色です。若々しさだけでなく、少しくすみのある印象が特徴的で、風に揺れる柳の葉のようでもあります。霞がかった緑には、そこはかとなくミステリアスな雰囲気が漂っていますね。

今様色(いまよういろ)
色名の「今様」は「今、流行りの」という意味です。「今」は平安時代を指し、紅花で染めた明るい色調が当時の貴族の間で人気を集めました。色みには淡い桃色、濃い紫紅色など諸説あります。心を晴れやかにしてくれる色ですね。

山葵色(わさびいろ)
柔らかく白みのある黄緑色は、少しくすみも含んでいます。山葵は日本原産の植物で、古代は薬に、室町時代は薬味として使われました。その山葵をすりおろしたような豊かな色合いには、ツンとした清涼感があふれているようです。

猩々緋(しょうじょうひ)
「猩々」は、サルに似た中国の空想上の生き物のことを指します。その猩々の血で染めたものを猩々緋とする伝承が今に伝わります。大航海時代に日本にもたらされたといい、戦国武将は陣羽織に仕立てて戦場で愛用したそうです。

鬱金色(うこんいろ)
赤みを帯びた黄色は、ショウガ科の多年草「鬱金」で染めています。鮮やかさと力強さを兼ね備えた色ですね。鬱金は英語で「ターメリック」と呼ばれ、日本には奈良時代に伝わりました。今では漢方や香辛料としてお馴染みです。

桑色(くわいろ)
桑の葉は、生糸を作る蚕(かいこ)の餌になり、古くから日本人にとって身近な植物でした。その桑の樹皮や根を用いて染めた色を指します。桑を材料にした草木染の総称でもあり、浅い色から濃い色まで色みには幅があります。

莟紅梅(つぼみこうばい)
梅が開花する前の莟の色に由来しています。莟の色は花の色よりも一層濃く、一際鮮やかな強い紅赤色をしています。花の色だけでなく、莟の色にも価値を見出した古の人々の、奥ゆかしい感性を感じさせてくれる美しい色ですね。

黄柳(きやなぎ)
春の初め、葉を伸ばす前に付ける柳の花の黄緑色に由来すると言われています。色名に「柳」を冠する色は平安時代から数多くあり、織物や染物などに用いられてきました。どこか柔らかくふんわりとした印象がありますね。

緑色(みどりいろ)
瑞々しい生命力に溢れ『日本書紀』にも登場するほど古い色名です。かつては緑を含めた寒色系の色をすべて「あお」と呼んでいました。初夏の若葉のような明るい色から、生い茂る古草のような暗い色まで幅広い色みを指します。

草色(くさいろ)
ややくすんだ感じと、黒味を持つ黄緑色です。草葉を表すような調和の取れた色は、緑色を代表するだけでなく、他の色との組み合わせも抜群です。草餅や蓬餅(よもぎもち)など、春の味を思い出すような優しく豊かな色合いです。

練色(ねりいろ)
しなやかな絹糸のような、淡い黄みがかった優しい色合いが特徴的です。名前の「練」は、蚕の繭を煮て取り出した生糸を練って柔らかくした「練糸(ねりいと)」を指します。練ることで独特の艶としなやかさが誕生します。

抹茶色(まっちゃいろ)
良質な茶葉の新芽を摘んで蒸した後、乾燥させて臼で引き、粉末にしたものを抹茶と言います。厳選された上質な緑色は、鈍くも存在感のある高貴な輝きを放っていますね。粋な色が今も昔も人々の心を癒してきました。

鴇色(ときいろ)
優しく淡いピンク色は、絶滅が危ぶまれている貴重な鳥「鴇」に由来します。鴇が飛ぶ際に見える風切羽や尾羽の美しい色合いが表されています。江戸時代には日本各地に生息していた鳥で、その色は誰もが想像できるものでした。

二藍(ふたあい)
明るくも渋さが漂う紫色です。青い「蓼藍(たであい)」と、中国伝来の赤い「呉藍(くれあい)」の二つの「藍」を掛け合わせています。若いほど紅を、年を重ねるほど藍を強め、年齢によって着る色を変えていたそうです。

いかがでしたか?2月のにっぽんのいろは、芽吹き始めた春を感じさせてくれる色がたくさん。お気に入りの色を見つけられたら、「#にっぽんのいろ」の#タグをつけて、TwitterやInstagramなどで教えていただけたら嬉しいです。

にっぽんのいろが、本になりました!『365日にっぽんのいろ図鑑』

季節に合わせた日本の伝統色を1日1色365色、名前の由来や色にまつわる物語を写真とともに紹介します。

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暦生活編集部

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