土脉潤起つちのしょううるおいおこる

二十四節気と七十二候 2020.02.20

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こんにちは。暦生活編集部です。
今日は、七十二候の「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」という季節についてのお話です。

二十四節気は立春から雨水(うすい)へ移ろいました。雨水は、冷たい雪が雨にかわり、山につもった雪もゆっくりと溶け出すころ。それにより田畑も潤い、ここから農作業を始める目安とされてきました。このころ、朝夕はまだ冷え込みますが、寒さもほんのりと和らいでくるような気がします。

七十二候の「土脉潤起」は、雨水のはじめの七十二候にあたり、これを初候といいます。次候の「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」、末候の「草木萌動(そうもくめばえいずる)」へと続いていきます。

「土脉潤起」は「つちのしょううるおいおこる」と読みます。なんだか難しいうえにあまりパッとイメージが浮かびませんが、「雪に代わり温かな春の雨が降って、寒さに固くなっていた大地がうるおう」という意味の季節になり、土の中で眠っていた生き物たちとももうすぐ会えるころです。毎年2月19日から2月23日頃にあたり、いよいよ春に向けて自然界も着々と準備を進めているのが感じられますね。

七十二候はもともと中国から日本にやってきた暦で、今の七十二候は江戸時代に日本の風土にあわせて新しく作られたものです。中国と日本では季節感のずれが大きく、そのまま日本で使うには少し無理があったのですね。今日ご紹介している「土脉潤起」も、もともとは「獺魚祭(たつうおをまつる)」という名前の季節でした。

この「獺(たつ)」とはカワウソのこと。水中を自在に泳ぎ回る姿がかわいらしい、水族館の人気者ですね。

「獺魚祭」はどんな季節かというと、「カワウソが捕まえた魚を岸に並べるころ」。えっ、かわいい。カワウソは、とった魚をすぐには食べず、岸や岩の上に並べて置く習性があるのだそうです。その様子が、人間が供え物をして先祖を祭る様子に似ていたのでこの不思議な季節の名前が生まれました。

七十二候は、自然現象や動物、草木などの様子を分かりやすく表す名前がつけられています。眺めていると1年の自然の移ろいがよく分かる、いい暦だなといつも思います。

中国から伝わってきたそのままの七十二候と、日本に合わせて作り変えられた七十二候(本朝七十二候)。

そのまま使われているものもありますが、どんな違いがあるのか、見比べてみても面白いですね。ちなみに、中国本来の七十二候は「鳥」に関するものが多く、自由に空を飛ぶ鳥への、古代の中国の人々の関心の高さがうかがえます。どんな思いで作ったのかな。どんな光景が広がっていたんだろう。想像してみるのも少し楽しそうです。

※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。

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暦生活編集部

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