蟄虫啓戸すごもりむしとをひらく

二十四節気と七十二候 2020.03.06

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こんにちは。暦生活編集部です。
今日は、七十二候の「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」についてのお話です。

「蟄虫啓戸」は、二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」と同じで、地中で冬ごもりをしていた生きものたちが春の陽気を感じ、姿を見せてくれる頃。毎年3月5日〜9日頃が「蟄虫啓戸」の季節になります。

虫とはいいますが、カエルやヘビ、トカゲなど、さまざまな生きものが目を覚ましはじめます。カエルやヘビが苦手な人にとっては気が重いかもしれませんが、ウトウトとまだ眠そうにしながら這い出てくる姿を想像すると、「おはよう」と、少し微笑ましくなります。

「蟄虫啓戸」の「蟄」は、生きものが土の中にかくれているという意味。
「啓」は閉じているものを開くという意味があります。
「啓蒙(けいもう)」や「啓示(けいじ)」などと使いますね。
「戸」は、戸を開くの「戸」ですが、人と同じように見立てているところが面白いですね…。なんだか生きものに対する愛情を感じます。

この頃は日もあたたかくなり、農作業をはじめるのにふさわしい頃となります。

昔から、1年の祭事や農作業をはじめる日は「事始め(ことはじめ)」といわれ、2月8日に決められていました。旧暦の2月8日なので、新暦ではちょうど今ぐらいです。
農作業を終える「事納め(ことおさめ)」と対になる日で、両日を「事八日(ことようか)」といいます。

2月8日の事始めで農作業がはじまり、秋の収穫を迎え、12月8日の事納めで1年が締めくくられる。日本の稲作の生活は、そうやって昔から続いてきました。暦と稲作は強く結びつき、切っても切り離せないもの。その大変さや喜びは、私には本当の意味では分かりませんが、最近はお米を炊くときやお茶碗によそうときに、ちょっと大袈裟ですがそこに込められたいろいろな思いに愛おしさを感じてしまいます…。

「蟄虫啓戸」は、あたたかい日が増え、日差しも心地いい季節。
その反面、周りの環境の変化に心が疲れやすい時でもあります。
何事も、無理は禁物。自分らしく、この春も楽しく過ごしていきたいですね。

※「事始め」と「事納め」について、地方によっては「事」は正月のことであるとして、12月8日を「事始め」とするところもあります。
※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。

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暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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