和暦研究家の高月美樹です。
紫と緑の組み合わせは雨にもっとも映える色合わせ。雨に濡れると一層鮮やかになり、目にしみるような美しさです。
菖蒲と書いて、あやめと読むのでややこしいのですが、七十二侯の「菖蒲華(あやめはなさく)」のはアヤメ科の花のこと。
いわゆるショウブは水辺に生えるサトイモ科ショウブ属の植物。私の田んぼでも、水路に生えるショウブを大切にしています。若々しい緑が夏になっても美しく、カエルがちょこんと葉につかまっているのがおなじみの光景です。


端午の節句で邪気を払う魔除けに使われているのはこのショウブで、根に薬効成分があって「菖蒲湯」に浸かる風習があります。このショウブの花は地味な黄土色の花穂で、鑑賞するような花ではありません。
一方、アヤメ科アヤメ属の花は種類が多く、一初(いちはつ)、文目(あやめ)、燕子花(かきつばた)、花菖蒲(はなしょうぶ)と色々あり、最近はジャーマンアイリスやオランダアイリスなどもよくみかけます。

いちばん最初に咲くのは一初(いちはつ)で、名前の通りいちばん最初に咲くことからこの名があります。次がアヤメで、アヤメであるかどうかの見分け方は、名前の通り、花びらの基部に網目模様があるかどうかで判断できます。
この棚田では田んぼの周りにぐるりとアヤメを植えている農家さんがいて、毎年見事なアヤメロードを楽しませてもらっています。遠くに見えているのは赤城山です。アヤメは湿地ではなく、山の中に咲いていることもあり、楚々とした野生の姿もいいものです。


次に咲くのが燕子花(かきつばた)で、尾形光琳の『燕子花屏風図』でよく知られるように、水辺が大好きな花。ちょうど燕子花が咲く頃、ツバメの子が巣立ってスイスイと空を泳ぎ始めます。垂れ下がった花の様子と、ツバメの姿を重ねた美しい表現で、まさに季節感がよくわかります。

実際にツバメをよく観察してみると、ツバメの羽は黒ばかりではなく、コバルトのような青や紫にキラッと光っています。昔の人はこの辺りも重ね合わせ、カキツバタに燕子花の字をあてたのだなとおもいます。ツバメをみかけたら、ぜひその背中に燕子花カラーもみつけてみてください。
いちばん最後まで咲いているのは花菖蒲(はなしょうぶ)で、今の季節は花菖蒲が多くなってきているかもしれません。じつは花菖蒲は野生のノハナショウブから作られた江戸時代の園芸品種で、その数は数千種にも及びます。色も紫だけでなく、白や黄色、青、ピンクなどさまざま。水に浸っているのは苦手で、日照を好みます。花びらの基部に黄色がみえるのが花菖蒲です。

さまざまな園芸品種がありますが、私はやはり濃い紫が美しく、心魅かれます。曇りの日や雨の日にいちばん輝いてみえる紫の花には、しっとりとした梅雨の日本を圧倒的に美しくする強さがあるようにおもいます。
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