和暦研究家の高月美樹です。
わがやの周辺は野鳥が多く、小鳥の声に耳を澄ませていると、ちょっと訴えるように騒がしく鳴いている声が聞こえてくることがあります。声の主を探すと、大抵は巣立った子供が親と一緒に行動しているのを見つけることができます。ニーニーニー、ジュクジュクジュク、ピーチクジキジキ。こんな感じに聞こえます。
先日、窓から見えたのはシジュウカラの親子でした。夏生まれの二番子と思われます。スズメの親子も毎年見かけますし、今年はエナガの親子も見かけました。よくみるとまだ少し小さかったり、羽の色が薄かったり。どこかおぼつかなさのある動きがあまりにも愛らしく、小鳥たちに見つからないようにそっと盗み見ながら、思わず微笑んでしまいます。


私が住んでいるのは都内ですが、川沿いに長く広がる緑地があって、ここにはオオタカも棲んでいますし、夜はホーホーホーと互いの存在を知らせ合うコノハズクの声も聴こえてきます。カワセミのチーッと鳴く鋭い声も毎朝、聞こえてきます。

ちいさな鳥たちの抱卵期は短く、あっという間に巣立ってゆきます。たとえばメジロの産卵期は5月〜7月頃ですが、抱卵期は11日〜12日、巣立ちまでの日数も11日〜12日で、産卵から巣立ちまでわずか22〜24日程度。
一方、猛禽類はもともと個体数が少ない上、子育てにも時間がかかります。オオタカの求愛期は小鳥たちよりも早く、1月〜3月に始まっていて、4月〜5月頃に産卵していますが、抱卵期が約35〜40日と長く、さらに巣立ちを迎えるまでの子育て期間は約40日間。卵やヒナの間はヘビやカラスに襲われる危険もあり、猛禽類が無事に育つのは本当に大変です。

ようやく巣の外に出るようになっても、巣の近くを飛び移りながら、少しずつ行動範囲を広げ、1ヶ月以上の間、親鳥とともに行動して、狩りを学んでいきます。親から完全に離れて独立していくのは8月か9月頃。ですので、ちょうど今頃はタカの子供たちが自立していく「学習期間」にあたります。空中で獲物をとらえるタカは急上昇、急降下、背面飛行、ホバリングなど、かなり高度な飛行の仕方を学ぶ必要があります。
七十二候の「鷹乃学習(たかすなわちわざをならう)」、私は「鷹の雛、飛ぶことをおぼえる」と訳していますが、この候をみると、一羽でも多くのヒナが無事に巣立ってくれることを願わずにはいられない気持ちになります。

ちなみにうちの近所のオオタカは昨年、3羽のヒナを無事に育てあげましたが、そのうち2羽は巣立ち後、若鳥になってから死んでしまい、完全に独立して飛んでいけたのは1羽だけでした。年によってはヒナが一匹残らずカラスに襲われてしまったこともあります。
今年もヒナの子育てが確認されていたようですが、その後どうなっているでしょうか。そろそろ巣の外に出ているはずですが、オオタカには人の立ち入らない静かな環境が必要ですので、見にいったことはありません。

本来、単独で行動するタカが、親子で舞うのは一定期間だけ。昔の人は親子鷹が悠々と空を舞うのを見て、はっきりと季節を知ることができたのでしょう。「おお、がんばれよ」と応援したい気持ちと同時に、誇り高く生きる姿に心を動かされ、励まされてもきたのではないでしょうか。「鷹乃学習」は親子鷹を眩しく見上げる、そんな人間たちの気持ちも感じられる一侯です。

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