菊花開きくのはなひらく

二十四節気と七十二候 2020.10.13

この記事を
シェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「菊花開(きくのはなひらく)」についてのお話です。

爽やかに澄み渡る青空が、心を軽やかにさせる季節。
朝、青空を見るとうれしくて、ついつい写真に撮ってしまいますが、絵や写真ではおさめられそうにないその空色は、秋がくれたの贈り物のように感じます。

季節は、菊の花が見頃を迎える頃。そのような時期に青空が晴れ渡ることを、菊晴れ(きくばれ)といいます。菊は、七十二候にもその名があり、「菊花開(きくのはなひらく)」は菊の花が咲き、人々が花を愛でる季節に名前を付けたもの。例年、この頃に菊の品評会や菊まつりが各地で行われます。

菊は、奈良時代に薬草として中国から伝わったといわれています。
それ以来、長い時間をかけてたくさんの人に愛され、親しまれてきた日本を代表する花です。春の桜に対して日本の秋を象徴する花ですが、鎌倉時代、後鳥羽上皇が菊の花を好み、「菊紋」を皇室の家紋にしてから、その位置づけが決定的なものになりました。菊の花言葉は「高貴」「高尚」。その花言葉からも、とても大切にされていることが感じられます。

旧暦9月9日(今年は10月25日になります)は重陽(ちょうよう)という五節句のひとつで、重陽は別名「菊の節句」といわれています。昔、中国では無病息災と不老長寿を願い、この日に菊の花を浸した菊花酒を飲むならわしがありました。平安時代に日本に伝わってからは、宮中で菊を用いた宴が催されるようになり、菊花酒を飲み、歌を詠むなどして楽しまれました。やがて庶民の間にも伝わり、江戸時代に五節句のひとつに数えられるようになったということです。

重陽にまつわるならわしで素敵だと思ったのは、菊枕(きくまくら)。
旧暦9月9日の重陽に摘んだ菊の花びらを乾かし、それを枕に詰めると、菊の香りが漂う菊枕に。その枕で眠ると、恋する人が夢にあらわれるといわれ、女性から男性への贈り物にされたそうです。なんともロマンチックで、親しみを感じられるならわしですね。

私にとって、菊は昔から不思議な花です。美しく上品だと思う一方、お別れの花という印象がついてまわります。だからでしょうか、近づき過ぎず、少し離れたところで愛でたい。でも離れたいわけではない。そんなことを感じる、本当に不思議な花です。

※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。

この記事をシェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

  • instagram
  • facebook
  • note

暦生活

関連する記事

カテゴリ