橘始黄たちばなはじめてきばむ

二十四節気と七十二候 2020.12.02

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こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「橘始黄」(たちばなはじめてきばむ)についてのお話です。

二十四節気の小雪も、この「橘始黄」(たちばなはじめてきばむ)が末候になり、この季節が過ぎると大雪(たいせつ)になります。日々肌でも感じますが、暦の上でも冬が少しずつ深まってきました。

「橘始黄」(たちばなはじめてきばむ)は、橘の実が黄色く色づく頃です。

この橘とはヤマトタチバナのことで、別名ニッポンタチバナとも呼ばれています。
「橘」とは、古くは柑橘類の総称で、文献などに出てくる「橘」は、いろいろなミカン類を合わせてこのように呼ばれていたとされています。

ヤマトタチバナは、日本に古くから自生していた柑橘類で、その葉は枯れることのない常緑樹。冬でも青々と葉を茂らせています。そのことから、「永遠」を喩える象徴として大切にされてきました。葉や花、実は古くから文様や家紋に用いられ、文化勲章には橘の白い花がデザインされています。

橘にまつわる話で、「右近の橘」(うこんのたちばな)をご存知でしょうか。

ひな人形を飾るとき、桜と橘を左右に飾りますが、「左近(さこん)の桜、右近(うこん)の橘」という言葉が、どちらに飾るかを教えてくれます。これは京都御所紫宸殿(ししんでん)前の「左近の桜」「右近の橘」にならったものです。
明治維新前、天皇は京都御所にお住まいで、内裏には紫宸殿と呼ばれる正殿があり、そこでは即位の礼などの重要な儀式が行われていました。
この紫宸殿の前に、天皇から見て左に桜、右に橘が植えられており、「左近の桜」「右近の橘」と呼ばれていました。それにならい、ひな人形の桜、橘も、同じように並べられています。

道で黄色く色づく柑橘(かんきつ)の実を見ると、少しだけ気持ちが明るくなるような気がします。冬が深まり寒さが厳しくなっていくなか、こんなふうに元気をくれたり、癒してくれる存在は、貴重ですね。すっと通り過ぎてしまう日もありますが、ときには足を止めて、じっくりとその色を楽しめる時間も大切にできたらと思います。

※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。

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暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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