鱖魚群さけのうおむらがる

二十四節気と七十二候 2020.12.16

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こんにちは。暦生活編集部です。
今日は七十二候の「鱖魚群」(さけのうおむらがる)についてのお話です。

「いちばん好きな魚はなに?」と聞かれたら、わたしはまず鮭を候補に入れます。小さいころからとても好きな魚ですが、みなさまはいかがでしょうか。
鮭は先史時代から冬の貴重な食糧とされ、日本でもっとも親しまれている魚のひとつ。日本の朝ごはんといえば、わたしは鮭の塩焼きが必ず思い浮かびます。

「鱖魚群」(さけのうおむらがる)は、そんな鮭にまつわる七十二候です。
海で大きく育った鮭が、産卵のために一気に川を遡上(そじょう)する季節。北国の冬の風物詩にもなっているこの光景は、昔から神秘的なものとしてとらえられていました。

川で生まれ、雪解け水と一緒に海に出た鮭は、そのまま外洋で大きく育ち、産卵のためにふたたび生まれ故郷の日本の川に戻ってきます。生まれた川に戻ってくることを母川回帰(ぼせんかいき)といいますが、鮭は生まれた川のにおいを覚えているので、帰ってくることができるのだそうです。※諸説あります

この時期の鮭といえば、お歳暮としての新巻鮭(あらまきざけ)が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。新巻鮭とは、鮭の内臓を取り除き、塩漬けにしたあとに干した保存食。塩漬けにすることで余分な水分が抜け、旨味が増します。

かなり昔から作られていたそうですが、庶民が口にするようになったのは江戸時代になってから。明治になり輸送手段が整備されたことで、日本全国に広まっていったそうです。

鮭は昔から災いをさける(避ける)とされ、卵であるいくらは、子孫繁栄の象徴と考えられてきました。そのため、鮭が獲れる地域では正月の縁起物として鮭を贈り、また食べるならわしができました。

ちなみに、鮭を獲ることのできない西日本では、鮭の代わりに鰤(ぶり)が用いられ、塩鰤として年末年始に食べるならわしが残っています。鰤は出世魚なので、縁起の良い魚として好まれてきたのですね。また、長野県の佐久市では、佐久鯉を用いた新巻鯉がお歳暮で贈られているのだとか。

年末年始は、古くからある日本の文化や伝統を特に身近に感じられる時期だと思います。
今まで気に留めずに過ごしていたようなことにも、少しだけ目を向けてみたいですね。

※七十二候(しちじゅうにこう)は、日本の1年を72等分し、季節それぞれのできごとをそのまま名前にした、約5日ごとに移ろう細やかな季節です。

お正月を迎える準備、はじめませんか?

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暦生活編集部

日本の季節を楽しむ暮らし「暦生活」。暮らしのなかにある、季節の行事や旬のものを学びながら、毎日お届けしています。日常の季節感を切り取る #暦生活写真部 での投稿も募集中。暦生活の輪を少しずつ広げていきたいと思います。

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