おはぎを作って、お墓参りと野遊びへ
春分、春の真ん中です。もったいぶって姿を見せたり隠れたりしていた春も、春分を迎えるとようやく全開、本格的な春を実感します。春の花も次々に咲き始めました。スミレ、菜の花、タンポポ、ナズナ。庭でも椿や雪柳がよく咲いています。桜前線も、日本列島を熱烈北上中ですね。
お彼岸でもあります。春分は、お彼岸の中日。多くの人がお墓参りに行ったり、お寺で法話があったりします。中国やインドにはないこの風習は、聖徳太子の時代に始まったそう。ずいぶん古くから続いているのですね。春の訪れを存分に味わう野遊びが、お墓参りとセットになっていたところが魅力だったに違いありません。

お墓参りのお供えはどうしましょうか。この季節は、実は餅菓子天国。草餅に椿餅、鶯餅に桜餅とよりどりみどり。そんな春の餅菓子もいいのですが、やはりお彼岸のお供えとしては、おはぎを持って行きたい。春はぼた餅、秋彼岸のお供えがおはぎ、と季節の花に合わせて名前を使い分けることもありますが、ぼた餅の牡丹の花は、まだお彼岸の頃には咲かないなあ。というわけで、ここでは今や春も秋も一般的な呼び名となった「おはぎ」でいきますね。

おはぎは手作りすると、これまたたまらないおいしさです。このお彼岸には、ほんの少し作ってみませんか? 大量に作るのは大変ですし、食べるのも負担になってしまいます。もち米一合、小豆も一カップで、小ぶりなおはぎ十二個分。ちょうどいい感じです。面白がって作っているうちに、できてしまいます。

小豆は柔らかく煮て、同量弱の砂糖で味をつけます。塩をひとつまみプラスして、ほどよいかたさになるまで煮詰めたら、餡のでき上がり。餅米は少なめの水加減で炊いたら、擂り粉木でご飯粒が半分残るくらいにつぶします。これが主な材料です。あとは、きな粉と黒のすり胡麻を大さじ一杯ずつ。

餡とお餅を丸めて包んでまぶして、とやっていると、CD一枚聴き終わるくらいに完成です。きれいさっぱり後片付けもすんでしまうくらい。
まずはできたてのおはぎをパクリと味見して、それからお墓参りへ行く支度を始めますか。お参りの帰りに、眺めのいいところでおはぎを食べるのも大いなる目的。この季節ならではの花に囲まれた野遊びを、ぜひ。


平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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