「お昼寝用の布団皮を縫う」
梅雨が明けると突然真夏になっている、という毎年の流れですが、それでもなぜか毎年びっくりしてしまいます。とくに「梅雨明け三日」あるいは「梅雨明け十日」と言われるように、梅雨明け直後の何日間かは最高のお天気。真夏の空はこれでしょう、という文句のない青空が広がります。

そう考えてみると、「完璧な真夏」といえる日は、一年のなかでもそうたくさんはないのかもしれません。とすると、やはり一日一日を大切にしたい。のんびりしていると、暦の上とはいえすぐに秋が来てしまいます。
夏の頂点「大暑」は暑さの極。空調や冷凍庫のある今は、室温を下げてアイスクリームを食すなどして涼しく過ごせますが、そのようなものが何もない時代は、あれこれ工夫して涼をとっていました。

夏の季語で、いかにも涼し気なのが「夏座布団」。麻や藺草(いぐさ)など、軽やかな素材の小ぶりな座布団です。「円座」もまた夏に使われる、座布団がわりの敷物ですね。がまや藺草、藁などを使って平たく円く編んだもの。夏用の枕は、「籠枕(かごまくら)」あるいは「陶枕(とうちん)」。これまた名前を聞くだに涼しそう。
おや? だんだん昼寝がしたくなってくるアイテムばかり出てきましたが。
そうなのです。真夏の有意義な過ごし方は、なにも海や山へ出かけるばかりではありません。お休みの日にはおうちでのんびり、窓を全開にして風を通してお昼寝をする。これだって、心地よくお昼寝ができれば、宝物のような夏の思い出になるでしょう。

そんなよき思い出を作るために、今日はひとつお昼寝用に布団皮を縫ってみます。中の布団は長座布団。座布団を二枚つなげた形の、一般的には炬燵で使われる長細い座布団です。これがちょこっと小ぶりで、夏の昼寝用にぴったり。布団皮をサラサラの麻布に交換すれば、完璧です。
夏になると手芸品店でも、涼しげな麻布が売られています。サラサラ透け透けで、まるで紗のようです。生成りの少し濃いめの色を選んで買ってきたら、さっそく縫い方始め。

直線縫いがちょっと長めなので、今回はミシンを使います。ミシンと縫う人は一心同体。調子が出てくればリズミカルに縫い進んで、その心地よさは格別です。鼻歌交じりで表裏と縫いあげれば、あっという間に縫い方終了。あとは、出来上がった皮に布団を入れて、入れ口を綴じれば完成です。

それではさっそく、出来上がった小さき夏布団を敷きのべて、お昼寝と参りましょう。蚊取り線香をつけて、お腹にかけるタオルも用意して、もちろん籠枕もセット。準備万端でお昼寝突入です。夏の思い出をもうひとつ。


平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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