手づくり二十四節気「白露(はくろ)」

二十四節気と七十二候 2021.09.07

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布を巻き巻き針金ハンガー

9月の上旬は台風シーズン。といっても、この頃は梅雨のうちから雨風の被害が出る厳しい天候が続くので、9月ばかりを警戒するわけにもいきませんが。
ただ、9月は「二百十日」「二百二十日」と二回も、暦の中で台風の悪天候に注意を促す雑節が続きます。それぞれ立春から数えて二百十日目と二百二十日目にあたる、9月1日頃と11日頃です。

で、白露。気付けば朝には野の草に露が宿る頃、という節で、さすがにそろそろ秋の訪れを感じさせる時季になってきました。昼間はまだ半袖で過ごしていますが、朝晩は薄い羽織ものが欲しくなる日もあります。
 

羽織ものは、脱いだときにはハンガーにかけておきたい。畳んでおくよりも、またすぐに羽織りたくなるときなど、ちょいとかけておけば便利なのです。
ただ、薄手のものは、ハンガーからツルツルと滑り落ちてしまいがち。ボタンのないカーディガンになると、もう滑るがまま。

そこで、針金ハンガーに布を巻きつけて、滑らないハンガーをつくっちゃいます。
もう三十年以上も前、アメリカの手芸雑誌のページで、細かなプリント柄の布を巻きつけた針金ハンガーの写真が載っていて、その愛らしさに衝撃を受けました。
そのハンガーは、裸の針金のハンガーだったので、服をかける三角の部分にだけ布が巻いてありました。巻いているというか、ちょっと編み込んであったかもしれません。

そうだ、あんな布巻きハンガーをつくれば、薄いカーディガンも滑り落ちずにすみそうではないか。三十年も前の写真の記憶を頼りに、余りぎれの箱を引っ張り出して、中から使えそうな布を選んでつくり始めます。

まずは、布をリボン状に裂いて、二メートル半くらい準備します。紐が長すぎると作業しにくいので、五〇センチほどの長さの紐が五、六本あれば十分です。

本当は、この裂いた布をさらに撚って、撚り紐にしたほうがボリュームがあっていいかな、と思ったり、ただハンガーに巻きつけるだけではなく、編み込んでいったほうが雰囲気が出るかな、と思ったりしましたが、それは上級者編ということで、まず一回目はただ裂いた布をクルクルと巻いていくだけにしました。

布を二種類選んで二本出来上がると、なかなかいい感じ。使ったハンガーは、ブルーのコーティングがしてあるものだったので、全体を布で巻きました。中のハンガーを完全に隠した形。

使うのは、裂き布のほかにも、きれいなリボンや毛糸、また毛糸をくさり編みにしたもの、さらにはTシャツをハサミで螺旋状に切って紐にしたものを使っても面白そう。
これから何本も巻き巻きハンガーができそうです。

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平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

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