小さなお経帳をつくる
今年はなんとなく、秋になるのが早かった気がします。例年はお彼岸の頃になってもひどい残暑に悩まされるのが常で、こんなにすんなり秋が来ると逆に妙な気がしてしまいます。とはいえ、秋には秋らしいのがいちばん。早めの秋にウェルカムです。
さて、お彼岸といえば、おはぎを作ってお墓参りへ。
ただそうしたいのは山々なのですが、いまのこの世の中の状況下。両親の眠る墓地から離れた場所で生活をしているので、墓参することは少々難しい。

そこでこのお彼岸には、前からつくりたかった小さなお経帳をつくって、家の仏さんにお経をあげることにしました。
手のひらサイズのお経帳、これを買ったのは、四国の八十八ヶ所巡りをしたときのことです。もう二十年近くも前のこと。
小さいお経帳は、お墓参りへ行くときもお数珠入れに一緒に入る大きさなので便利です。オリジナルでつくりたいと思いながらも、なかなか落ち着いて写経する時間が取れなかったので、逆に家で過ごすお彼岸はちょうどいい。さっそく始めましょう。

写経するのは「般若心経」。若いころ、写経に凝った時期があって、半紙によく書いていました。そんなこともあって、お経には親しみがあります。
前述の八十八ヶ所巡りでも、毎日何度も般若心経を唱えました。お遍路の終盤になると、ほとんど諳んじられるようになったほどです。さらに、両親が亡くなってからはなおのことお経に接するようになりました。
そんなわけで、今回は久しぶりの写経です。しかも、半紙ではなく、その何分の一かの小さな紙に。用意したのは巻紙になった奉書紙。これを細長く切って、山折り谷折りの折り目をつけます。お経帳はアコーディオン状、屏風だたみになっているのですね。
四国で買って来たお経帳をお手本に、一つの折り目の中に三行ずつ書いていきます。墨をすって、細い筆でゆっくりと。だいたい三十分で写し終えました。

写経がすんだら、両端に厚紙で作った表紙を貼り付けます。表紙の厚紙は、見本のお経帳のように布でくるんでおきます。今回使った布は、リバティプリントのタナローン。孔雀に鹿に花、楽器を弾く人や女神さまなど、どこか天国を思わせるような図柄なので、お経帳にもいいかな、と思って。

なかなかの出来栄えです。このお彼岸には叶わなかったけれど、今度お墓参りへ行くときは、ぜひこの自作お経帳を携行しましょう。
晴ればれと遠距離を移動して、お墓参りへ行ける日が近く来ますように。
今はただそう祈るばかりです。


平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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