手づくり二十四節気/立春りっしゅん

二十四節気と七十二候 2022.02.04

この記事を
シェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

一合枡をペインティング

待ちにまった立春です。皆さまのところにも、春がやって来ているでしょうか。

昨年の立春から始めました「手づくり二十四節気」を一年間お読みくださって、ありがとうございました。おかげさまで、無事に前回の大寒で暦を一巡。ここでご紹介した手づくりのアイデアを実践してくださった方も多く、皆さま手作りのお品を写真で拝見することは、何よりの励みになりました。心よりお礼申し上げます。

うれしいことに、二年目もまた二十四節気とともに皆さまに記事をお届けできることになりました。季節ごとで手のひらに乗るサイズのプチで愛らしい手づくりのものと共に、ちょっとした暮らしの知恵なども交えながら、季節の暮らしを彩っていけたらと思います。改めまして、二巡目もどうぞよろしくお願いいたします。

さてその初回、立春では、一合枡をペイントしてみました。ちょうど節分の豆撒きの豆が、一合枡入りのものだったので、それを使って。枡といえば白木が一般的ですが、滑らかな白木の表面にペイントするのも面白そう、ということで。ペイントに使ったのは、アクリルガッシュ。普段仕事で使っている画材ですが、水で溶けて、乾くと耐水性になるのでなかなかに便利です。

このペイントした一合枡は、毎朝小鳥さんの餌のヒマワリの種をすくうのに使います。今まではプラスチックのお米用のカップを使っていたのですが、やはり木製の枡の方が気分が出ます。ペイントしてしまったので、もはや白木ではなくカラフルな小鳥さんの絵柄の枡ですが。

今は日本もメートル法が施行されていますが、日本式の度量衡もいいものです。一合は180ml、お米やお酒は、やはり今でも「一合」が親しみのある単位になっていますね。その一合がきっちり測れる枡はとても便利。白木で真四角で、角のエッジが立っていて見た目が端正。木組の部分も美しい。

我が家では、何種類もの大きさの枡が台所や仕事場にあって、けっこう活躍しています。使っているうちに、少しずつ年季がはいって、だんだん飴色になってくるところもまた味わい深い。最初は手の切れそうな角のエッジも、気がつくと角が取れて丸くなっています。

以前、旅先の豆屋さんで見た五合枡は、角がほぼなくなって丸みをおびて、色も煮染めたような濃い茶色になっていました。どれほどに長く使われてきたことでしょう。角をなくしながらも、まだ現役で役に立っている丈夫な枡。静かに感動を覚えたものです。

ペイントしちゃった枡は、そんな色の変化などもはや望めませんが、こういう枡もまた面白いじゃないか、ということで。春色ペイントの枡で、今日もまた小鳥さんにヒマワリの種をお届けしましょう。朝から何種類もの小鳥さんがベランダにやって来て、「はやくはやく」と催促されております。

この記事をシェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

関連する記事

カテゴリ