そろそろ梅雨ですね。芒種は雑節「入梅」の少し前。以前はちょうどこの芒種のころに田植えを始める目安になっていたそうです。
「芒種」とは、稲や麦など、芒のある穀物を植え付ける時期という意味です。今は5月の連休のころが田植えの最盛期となっているようなので、少し感覚はずれますが。
さて、そんな芒種の節気、種のことを考えてみました。
改めて考えてみると、植物の種って不思議ですね。あんなに小さな粒から芽が出て、どんどん育って花を咲かせ、実をならせて。あの小さな種の中に、どれだけの情報が詰まっているのでしょうか。考え始めると、ワンダーすぎて頭がクラクラするほどです。
我がへっぽこ庭園でも、咲いた花からけっこうな量の種が採れます。採れる種の量もまたびっくりするほど。植物の生命力恐るべし、というところです。
採れた種は、紙を折ってつくった種袋に入れています。時間が経つと、どれが何の種だかトンとわからなくなってしまうので、この袋には必ず植物の名前と採った日付を記しておくことに。
それにしても、こんなにたくさん種が採れちゃって、いったいどうするの?
庭で採れた種だけでもいっぱいなのに、さらに野菜や花の種は、お店や園芸サイトで見ると、つい欲しくなって買ってしまいます。苦手な種蒔きも、「こんなにかわいいお花が咲くなら頑張って蒔く」とそのときは殊勝にも思うのですね。で、余剰種がいっぱいに。
そんな種は、園芸好きの友人にプレゼントしちゃいます。どうか手伝ってください、の思いとともに。こうなると、プレゼントというよりもほとんど押し付けです。ただし、友に送る種袋は心を込めて折ります。
いろいろな形に折れるのが面白くて、三角に折ったり長方形にしたり。使う紙も、自分用には無地のメモ用紙を使いますが、友人に送るには、色紙やグラシン紙、きれいな柄の千代紙を使って少しだけ味をつけるのもありかな、と。
住まいする場所が寒冷地なので、6月は種蒔きどき。近所の友人にも、封筒に種袋をいくつも入れて郵便で送ります。
「もらった種のお花が咲いたよ」と聞くのは、種を送った者としてはなによりの喜び。またそんなうれしい知らせをもらえるでしょうか。そんなことを思いながら、自分でも芒種のこの時季に、せっせと種蒔きをする毎日です。
平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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