七十二候では、立秋の末候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」を迎えました。春の「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」と対になっている一候です。
春は霞(かすみ)、秋は霧(きり)。空気の水蒸気が小さな水滴となって空中に浮遊する現象としては同じですが、名前が変わります。もっとも春のみを霞というだけで、実際に霧は季節を問わず、発生しています。

梅雨の時期に出るのは梅雨霧(つゆぎり)、夏に発生する夏霧(なつぎり)、そしてこれからの季節が秋霧(あきぎり)。場合によっては冬にも霧は発生します。
釧路、摩周湖、軽井沢などは幻想的な霧で知られる観光名所ですが、ピークは6〜8月ですので、夏霧といえます。霧の出る時期は、地域によっても異なりますが、秋霧のピークは秋雨前線が続く10月下旬の晩秋から初冬にかけて。霧が秋の季語になっているのはそのためです。

朝霧、夕霧、夜霧、川の霧、霧の季語はたくさんありますが、霧といえば秋、ということになっています。霧の香(きりのか)は霧がお香の煙のように立ちのぼる様で、やはり秋の季語です。春はたなびき、秋はたちのぼる。そんな違いがあるようです。
春に去った雁が帰ってきて、今、秋霧の上で鳴いている、と詠んだ古今集の和歌です。春の霞は夕方に多く、秋の霧は朝に多いといわれますが、山間部ではそうとも限りません。山間部では低気圧の影響でしばしば濃霧が発生しますし、大雨の時期はいずれにしても要注意です。高速道路で雨を抜けたかと思うと、急に目の前が見えなくなるほどの深い霧に包まれ、かなり怖い思いをしたことが何度かあります。

日本は年間を通じて霧が多いとはいえ、日本の霧は全体でみると、ここ数十年、急速に減少しつつあります。とくに東京、神戸、京都などの都市部では大幅に減少し、年間ゼロ日という年も出てきました。ヒートアイランド現象で乾燥が進み、気温が下がりにくくなっていることや、緑地の減少、雨が地中に浸透されないことなどが原因と考えられています。霧は減っていますが、台風以外の雨や集中豪雨は増えている、というのが現状です。
植物では、アサギリソウ(朝霧草)というキク科ヨモギ属の植物があります。岩場に自生する日本原産種で、細い銀白色の葉がふんわりと煙るように見えることから、この名があります。寄せ植えやガーデニングに使われるシルバーリーフの代表的植物で、花も咲きますが、葉の雰囲気を楽しめる植物です。

文責・高月美樹
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