手づくり二十四節気/立冬りっとう

二十四節気と七十二候 2022.11.07

この記事を
シェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

新豆三昧

立冬、暦では冬を迎えました。実際の体感としては、まだ冬というには早すぎる、晩秋の只中というイメージですね。

それでも、寒冷地に住む身としては、部屋には毎日ストーブをつけています。10月前半のうちは朝晩だけだったのが、だんだん燃焼時間も長くなって、今はほぼ一日中ストーブつけっぱなし。

真冬になる前は小さな石油ストーブを使っているので、上にヤカンやお鍋を乗せられるのがなんともいいところです。ストーブの上でヤカンにお湯が沸いている音を聞いたり、お鍋で豆が煮える匂いが漂ってきたりすると、ああ、寒いのも悪くないな、と思うのでした。

そう、豆です。この秋に採れた新豆を食べなくては。お店には、豆売り場に「新豆」のシールが貼られたパッケージが並んでいます。
豆好きには、これからはこたえられない季節です。小豆に大豆、花豆にインゲン。これは煮豆に、こっちはスープに、ああ、カレーに入れてもいいな。妄想は広がりまくりです。

書いて字の如し、小豆は最も小さな豆で、すぐに火が通るので気軽に料理できます。まずはやはりお汁粉に。

豆はたいてい一晩水に浸けてから火にかけますが、小豆、とくに新豆は水に浸ける必要なし。パッケージにも「水に浸けずに」料理せよ、と記されています。1時間ほど火にかければ、とろける柔らかさに。

豆は栄養価が高く、乾燥しているので保存ができる。そのうえおいしくて様々な料理に使える、という優等食材。つぶつぶツヤツヤ、見た目もかわいくていうことなしです。

そのかわいさを見たくて、豆はいつもガラスジャー に入れて保存しています。ジャーには豆の名前のシールを貼って、台所の棚に並べて眺める幸せ。いろいろな豆がうちにあるな、と思うだけで安心感に包まれます。

甘い煮豆もいいし、水煮にしておけばサラダやスープにも重宝です。シチューにカレーにチリコンカン。白インゲンは、ポークビーンズにして山ほど食べよう。今日は花豆、次は大豆、とどの豆を食べようかと選ぶのもまた一興。

大きな花豆は、水に浸けなくていい小豆とは対極で、三日間水に浸けてから火にかけると、短い時間で火が通って柔らかになります。

ひよこ豆やレンズ豆はたいてい輸入物だけれど、同じ豆の仲間じゃないか。この際だから、一緒においしく食べましょうっと。

この記事をシェアする
  • twitter
  • facebook
  • B!
  • LINE

平野恵理子

イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。

関連する記事

カテゴリ