熨斗をつくる
大寒にはいって、寒さも極となりました。北風が吹いて、つららに雪に氷に霜柱。寒さと冷たさのオンパレードです。これらも今の時季にしか見たり感じたりできないものなので、いっそ味わう気持ちで寒さを受け止めることにしましょうか。
寒が明ければ、再び暦は春を迎えます。それまでの、辛抱辛抱。

寒いとどうしても家の中にこもりがち。そんなときこそ、手づくりをする絶好のチャンスです。今回は、紙を折って熨斗をつくってみます。
さて、熨斗とはなんぞや。熨斗とは、進物に掛ける紙の右上についた小さな飾りです。あの飾り、よくよく見ると、小さな紙を折ってつくってありますね。真ん中に大切そうに、細長い黄色い紙を抱き込んでいるのが見えませんか?この小さな黄色い紙が、実は熨斗の正体。

今でこそ黄色い紙だったり、あるいは黄色く印刷してありますが、もともとの熨斗は、貝のアワビを熨したもので、長い歴史のあるものなのです。本来の熨斗は、アワビの身をかつら剥きのようにリボン状に薄く剥いて、干してつくったもの。アワビは長寿の象徴で、今もお祝い事の贈答に熨斗をつける習慣があります。熨斗自体が生ものなので、逆に生ものの進物に熨斗はつけません。また、熨斗をつけた贈り物の包みには、リボンもかけません。
今も本格的な熨斗には本物のアワビを使ったものもありますが、今はほとんど黄色い紙か印刷です。よくお店で「お熨斗はいかがしますか?」と聞かれる「熨斗」は、熨斗も水引もすべてプリントされた「掛け紙」のことが多いようです。簡略化されているとはいえ、熨斗を贈答に使う習慣は、脈々と受け継がれているわけですね。

プリントされた掛け紙や祝儀袋の熨斗には、鶴亀に松竹梅が小さいところにぎっしりレイアウトされているものもあって、それはそれで素敵ですが、今回は自分で紙を折ってつくります。
用意するのは、赤と白と黄色の紙。ほかには金色の紙や千代紙があるとさらにアレンジができておもしろいでしょう。
小さい紙を折るので、ちょっとしたズレも仕上がりに大きな影響があります。あわてず丁寧に、ゆっくり折ることが肝要。紙を正確に裁断することも大切です。


大寒が過ぎると次第に春が近づいてきます。お祝い事や贈り物の機会も多くなる季節。寒のうちに、小さくて愛らしい熨斗をつくっておいて、春の贈答に備えます。


平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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