お赤飯を炊いて贈る
春彼岸のお中日、春分です。昼と夜の時間が同じ長さで、これからは昼の時間がさらに長くなっていきます。日足も伸びて、気温もだいぶ高くなってきて、いよいよ春本番。

さて、年度替わりも近づいて、この時期は人の移動も多いころ。卒業に入学、引越しなど、お祝い事もあれこれあります。お祝い金を包んだり、記念の品をプレゼントしたりと、贈答にも忙しい。
品物を選ぶのに少し時間をかけたいときは、取り急ぎのお祝いにお赤飯を炊いて贈るのはいかがでしょう。もちろん、贈るのは手渡しする人に限られますが。それでも、お顔を直接見て渡せるなら、そんなにいいことはありません。きっとお祝いする気持ちが伝わります。

お赤飯を炊くには、小豆ではなく、ササゲを使うとキリッといいお赤飯が炊けます。やわらかいアズキだと、皮が破れたり豆が潰れたりしがちですが、ササゲは粒が小さくて堅めなので、しっかり豆の形で炊けて仕上がりがきれいです。
よくいわれるのは、アズキのお赤飯は豆が割れて切腹したようになるから、皮の破れないササゲを使う、と。ただ、侍じゃないんだから、お赤飯にはアズキを使う、という方もいます。両方どちらでも、お好みで決めればいいですね。
炊飯器でもお赤飯は炊けますが、やはり蒸したおこわの方がおいしく感じるのは気分の問題でしょうか。蒸し器に蒸し布を敷いて、ササゲの煮汁に浸けてほんのりと色をつけたもち米を入れます。このとき、煮ておいたササゲももち米に混ぜて一緒に。

炊くのには、そんなに時間はかかりません。6分蒸したら蓋を開けて、塩味をつけたササゲの煮汁でもち米に打ち水をします。これを3回繰り返したのち、さらに3分蒸したら炊き上がり。打ち水用の煮汁は、3回に分けて全部使い切るようにします。これで塩味がちょうどよくおこわにつくというわけです。

お祝いに渡すには、折り箱に詰めて。折り箱は、ちょっとお出かけの時に持っていくお弁当箱にも便利なので、常備しています。いろいろなサイズや形のものがありますが、17センチ×10センチで深さが3センチくらいの大きさがちょうどよいようです。きっちり詰めるとちょうど1合分のお赤飯がはいります。
お赤飯の上には南天の葉をあしらって。南天の葉には、抗菌作用もあるのです。
蓋をしたら、赤いラインをプリントしたかけ紙を。「お祝い」の字と自分の名前を書いて掛けます。胡麻塩と割り箸をそえれば、贈る準備は出来上がり。

胡麻塩と割り箸を添えるのも忘れずに。渡してすぐに食べてもらえたら、こんなにうれしいことはありません。もちろん、自分の分もとっておいて、おいしくいただきます。もち米がひと粒ずつ光っていて、お赤飯ってきれいなものですね。あらためて、そう思いました。
ぜひこの季節、お赤飯でお祝いを。

平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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