あずま袋をつくる
草や木の緑もすっかり成長しました。木々の花は、実を結び始めています。安定したお天気が続いてなんとも気持ちのいい季節です。小満は、万物しだいに長じ天地に満ち始めるとき。

そんな満ち足りた時節、見晴らしのいい場所に出かけるのもいいですが、お部屋から外の様子を見ながら過ごすのもまたよさそうです。澄んだ青空に、風に揺れる緑の葉。さて、それではお部屋で何をしましょうか。
ほんのちょっと手を動かして、あずま袋をつくるのはいかがでしょう。あずま袋とは、長方形の布を2カ所縫い合わせただけの、簡単な袋です。手先を結び合わせれば手提げになりますし、結びを解いてたためばぺったんこになってハンカチのよう。とても便利な袋なのです。
このあずま袋、子供の頃から時折り横目で見ていたかもしれませんが、初めてしっかり認識したのは、三十歳前後のころでした。ちょうど着物を着はじめたころで、和装小物のお店にも足繁く通っていました。そこで見つけたのがあずま袋です。
お店の棚に、美しい色柄のあずま袋がとりどりに並んでいました。みな正絹の縮緬(ちりめん)でつくられたもので、刺繍あり、絞りあり、可愛らしい小紋もあり。お店へ行くたびに、今日はこれとこれにしようと購入するほどで、もうあずま袋の虜でした。

はんなり柔らかで愛らしいその袋は、着物を着て出かけるときにとても重宝で、バッグに必ず忍ばせて行きました。和装のときはなるべく荷物を大きくしたくないこともあり、愛用していたのです。
そのあずま袋を、今回は手拭いでつくってみます。絹ではなくて木綿なので、はんなりというよりも、元気な働き者のあずま袋といった雰囲気でしょうか。
手拭いは、新品でも使い古したものでも。よく使い込んだ手拭いは、生地が柔らかになっているので使いやすいあずま袋ができるはず。持ち手部分を結ぶ際にもすんなりと。この袋のいちばんの用途は、旅行先での洗濯物入れ。家で使うならパジャマ入れにも。衣替えで、シーズンオフの靴下や下着をまとめて仕舞う際にも重宝です。いっぽう新品の手拭いでつくるなら、お弁当包みにもおすすめです。旅のおやつ入れにしてもいいな。

つくるポイントは、縦横の比が1:3の布を使うこと。手拭いはだいたいこのサイズなので、裁断する必要もなく、チョチョイと2辺を縫い合わせればあっという間にできあがりです。きっちり1:3でなくても、仕上がりが多少ずれていたって気にしません。もちろん、きっちりつくりたい方は、1:3になるように裁断してくださいね。

もっと大きな布で、大ぶりなあずま袋をつくるのもおすすめです。温泉へ行ったときに、着替えやお風呂道具を全部入れて、お風呂場まで運ぶのにも使えます。旅行の着替え入れにも。

逆に、小さなサイズをつくるのもかわいいですね。お菓子などをプレゼントするときに、ラッピングとして使ってはいかがでしょう。薄手でかわいらしい柄の布でつくれば、そのプチあずま袋自体もプレゼントになりそうです。
気持ちのいい季節、ちょっと縫い物をすることで、暮らしがまたひとつポイントアップしそう。どうぞこの季節をたっぷり満喫して、お過ごしになってください。


平野恵理子
イラストレーター、エッセイスト
1961年静岡県生まれ。著書に『五十八歳、山の家で猫と暮らす』『歳時記おしながき』『こんな、季節の味ばなし』ほか多数。好きな季節は、季節の変わり目。現在は八ヶ岳南麓在住。
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