水辺の枯れ色
七十二候では秋分の末候「水始涸(みずはじめてかるる)」を迎えました。
稲作が盛んな日本では、水田の水を抜き、稲刈りに備える頃と解釈されていますが、七十二候の原点とされている『礼記月令』や『淮南子』では「陰気益々強くなり水涸る」として、乾いて枯色になった秋の情景そのものをさしています。

湿気の多かった夏が終わり、みずみずしく茂っていた草木も潤いを失い、どこかもの侘しく、乾いた雰囲気が漂っています。日本人は四季の中でも晩秋をもっとも尊び、閑寂の中に漂う「もののあはれ」に、奥深い豊かさや美しさを感じてきました。水そのものが涸れてしまうわけではありませんが、水辺にいけば、秋の風情がたっぷりと味わえます。ぜひ水辺の枯れ色をみてみてください。
秋は、生々流転の命の季節。盛んに鳴く虫たちは地中に卵を残して静かにいのちを終えていき、くさぐさもさまざまな形で種を残し、枯れてゆきます。


水面に浮かぶ浮き草たちも、色づき始めています。

「水澄む」という季語もあるように、秋の水には夏のようなにぎわいはありませんが、とても静かで、清冽な印象を与えます。「水の秋」は、この秋の水の美しさを讃える季語です。

共に生きる喜びを感じる稲刈り
近年は田植えも、稲刈りも、昔に比べると全国的にかなり早くなっているので、畦の水口を切って田んぼの水を抜く「落水」をおこなうのは8月のところが多く、すでに稲刈りが終わっているところも少なくありませんので、この七十二候はちょっとずれていると感じるかもしれません。

落水させるのは通常、出穂後約30日、稲刈りは40〜 50日後とされていますが、稲が実って美味しくなるのは、この水を切ってからの登熟期間で、秋の残暑が欠かせません。お米は日中の気温が高く、夜は冷えこむ方が美味しくなります。うちの田んぼも無事に実るだろうか、と最後まではらはらしますが、毎年、残暑の強い陽射しのおかげでなんとか実ってくれています。

稲刈りはすべて手刈りで行なっているのですが、田んぼで出会うかわいい生きものたちとの出会いも楽しみのひとつです。稲刈りが終わると、カエルたちは穴をほって巣ごもりし、たくさんのヤゴが泥の中に眠り、人のいなくなった田んぼは鳥たちの格好のえさ場にもなります。また来年、と祈りつつ、共に生きる喜びを感じる農作業です。

日本イモリ。踏んで傷つけてしまわないように安全な場所に移動させます。

草紅葉(くさもみじ)も美しく、咲き乱れる花野をより一層、鮮やかに見せてくれます。草の葉は樹木よりも早く色づきますので、ぜひ大地の小さな赤を探してみてください。

文責・高月美樹
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