こんにちは、漁師をしている三浦です。
暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続きます。今日は帆立についてのお話です。
帆立は冷たい海水温の場所に生息するため、北海道のオホーツク海を中心に青森県、岩手県や宮城県など、東北より以北地域が主な産地になります。
産卵期前の冬から春にかけては身に栄養を貯めていくため、身が厚くなってたんぱく質が増えていきます。そのため、いまは帆立の旨味が濃く、1番おいしい旬の時期!
実は、食べごろとなるサイズになるまでは約3〜4年ほどかかります。
春先の海水温が4〜8℃の間で出産するため、生まれた帆立の赤ちゃんは1ヶ月ほど海を浮遊したあと、岩壁や成長に適した場所にくっつきます。その習性を利用して、タマネギを入れるような網目の細かいネットに付着させて種苗をして、帆立の成長に合わせて少しずつネットの網目を大きくしていきます。
養殖の場合、約1年後に5センチほど成長すると、“本育成”を始めるために帆立の蝶番(ちょうつがい)の“耳”のような部分にミシンに似た専用の機械で穴を開けて“ピン”と呼ばれる取り付け具をつけ、海に垂下するためのロープに帆立をくっつけていきます。これは「耳吊り」と呼ばれ、1枚ずつ手作業で行っていく作業です
そして帆立を付けたロープを海に持っていき、出荷まではロープで過ごして成長していきます。
日本で流通している国産帆立の約9割は養殖のもの。天然物はわずかです。
貝殻が少し開いていると、少しずつ弱ってきている証拠。帆立はデリケートなため、過度な刺激を与えられたり、海水から引きあげると徐々に貝殻が開いていきます。なので、貝殻がぴったりと閉じているものが元気な帆立になります。
帆立の殻を開けると、キモの色が2種類あるのをご存知でしょうか。帆立には性別があり、キモがピンクなのはメス、白っぽい色なのはオス。キモの色によって性別を見分けることができます。ただ、オスでもメスでも、どちらを選んでも貝柱などはさほど味が変わらないのでお好みで。
貝殻から身を外したら、パーツごとにして下処理をしていきます。貝柱と“外套膜”と呼ばれるヒラヒラしたヒモの部分を洗います。お湯を通せば黒くて丸い部分も食べられますが、これはお好みで。キモも料理に使う場合は湯通しします。
帆立にはうまみをつかさどるグルタミン酸、甘みを感じるグリコーゲンが多く含まれています。また、タウリンや亜鉛、リンも含まれているため、滋養強壮の食べ物でもあります。
まだまだ寒い日が続く2月。帆立を入れた“帆立と生姜のクリーム煮”なんてどうでしょう。帆立の旨味とホワイトソースとの相性は抜群。滋養強壮にいい帆立と免疫力を高めてくれる生姜の組み合わせは、寒い日にぴったりな気がします。
寒さや乾燥から風邪が流行る時期でもあるので、体をポカポカと温める帆立のメニューで栄養をつけて、体調万全に過ごしましょう!
三浦尚子
漁師・ライター
神奈川県出身、岩手県在住。春が好き。ほっとする暖かさと、生き物が活発に芽吹いていく空気が心地よく感じます。趣味はカメラとおいしいごはんを食べること。夜明け頃の海が好きで、ときどき海の写真を撮っています。
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