こんにちは。和暦研究家の高月美樹です。
裸木になった枝にとまる鳥の姿が見つけやすくなる頃。わが家は公園に面しているため、いつも小鳥の声が聞こえています。冬の小鳥たちは種を超えて協力し合い、危険を知らせたりしながら、木から木へ、群れで行動しています。アオジやジョウビタキなどの冬鳥も南下してきます。

メジロは夫婦仲がとてもよく、二羽で行動していることが多い鳥ですが、冬はシジュウカラやヤマガラ、エガラなどのカラ類と一緒になって動いていることがよくあります。小鳥がパラパラっと枝から枝に移るのを見かけたら、しばらく立ち止まって眺めてみてください。その群れにはメジロも混じっているかもしれません。メジロはいわゆるウグイス色ですから、判別もしやすいとおもいます。
今日のお話は、今でもよく使われている「めじろ押し」という言葉についてです。

「めじろ押し」という言葉は、メジロが押し合いへし合いしながら枝に並んでとまる様子から生まれた言葉です。今の季節ではありませんが、巣立ったばかりのヒナたちも身を寄せ合い、団子状に並びます。エナガの場合はエナガ団子と呼ばれたりします。
スズメたちも寒さをふせぐために、しっかりと羽をふくらませて丸くなるので「ふくら雀」と呼ばれて愛されてきました。

食料の少ない時期を耐えて、春を待つ小鳥たち。実際には多くの小鳥たちが冬の間に命を落としていきます。俳諧では寒禽(かんきん)、またはかじけ鳥といって、寒さにこごえる冬の鳥への慈しみを詠みます。
ところで、メジロは花の蜜を好むため「花吸い」とも呼ばれ、嘴(くちばし)が細く、蜜を吸やすい特殊な舌を持っています。冬はツバキやサザンカの蜜を吸いにきます。ツバキやサザンカは虫でなく、鳥を媒体に花粉を運んでもらうことを選んだ鳥媒花(ちょうばいか)であることもぜひ知っておいてください。
ツバキは鳥が花に飛びついてぶる下がっても折れないような、とてもしっかりとした作りになっています。ツバキの中央の黄色い花粉の部分がすっぽりとなくなっているのは鳥たちが来訪した跡です。ツバキをみかけたら、ちょっとのぞいてみてくださいね。

最後に、メジロの巣です。
メジロはじつに端正な美しいお椀状の巣を作ります。

これは以前、木こりの友人から冬の贈り物としていただいたものです。外側に苔、そして内側はシュロの細い繊維を好んで用います。メジロの巣は再利用されることがないため、冬になると風に飛ばされるのか、地上にポトンと落ちていたりします。
来年もまた新たな巣作りが行われ、かわいいメジロ押しがみられることを願ってやみません。
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