花粉症かふんしょう

旬のもの 2020.03.18

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こんにちは。国際中医専門員の櫻井です。

現代病ともいえる花粉症。花粉症はアレルギー性鼻炎などと呼ばれる疾患で、杉や檜、ブタクサなどの花粉に対し、身体が異常な反応をすることでおこる疾患です。

花粉症症状で顕著な、鼻水やくしゃみは、本来、花粉やウィルスなどの外敵を身体の外に排出しようとする身体の防衛反応です。その防衛反応が過剰におこっている状態が花粉症です。

誤解されがちなのが、花粉症は免疫力が弱っている結果と考えられているところ。確かに免疫力がおかしなことになっているのは間違いないですが、ただ弱っているのではなく、過剰に反応しすぎている状態です。

つまり本来であればさほど反応しなくていい外敵に対して、免疫システムが総攻撃を加えているようなものです。そのために過剰な鼻水、涙、くしゃみなどに悩まされます。

中医学では、花粉症の主な原因を、体を外敵から守るバリアエネルギーの不足と考えます。このバリアエネルギーは、「衛気(えき)」とよばれ、体表である皮膚や粘膜を覆い、花粉などから身を守る役割をしています。衛気は、花粉やウィルス、菌などだけではなく、寒暖差や、気圧、湿度の急激な変化からも身を守っています。

なので、衛気が不足する方は、花粉症症状が顕著だったり、カゼをひきやすかったり、寒暖差で蕁麻疹などの症状も出やすくなりますし、急に寒くなって体調を崩しやすいといった症状も見られます。また、疲労時は症状が悪化するという特徴もあります。

衛気は、呼吸から取り込まれる空気中のエネルギーと、飲食物から作られるエネルギーが合わさって生まれます。この衛気が不足し、花粉症になりやすい人の特徴は、

  • 空気の悪い中で生活している人。呼吸が浅く、深呼吸ができていない人。
  • 食事に偏りがあったり、過剰な精神的ストレスを長期にわたって受けつづけている人、暴飲暴食で胃腸が弱っている人、腸内環境が悪い人。
  • 親からもらった元来の体が弱い人

などがあり、それぞれ弱い部分を改善して対策していきます。

また、花粉症はその症状から、タイプが別れます。
まず、水っぽくて透明な鼻水がダラダラでるというのは、体の中に「冷え」があるタイプなので、基本的には温める対策をします。
それとは違い、目の周りが赤くなって、かゆみが強く、黄色い鼻水や痰がでるのは「熱」があるタイプなので、対策ではこもった熱を冷ますようにし、改善します。

冷えタイプの日常の対策では、とにかく体温より冷たいものを口にしないこと。生もの、過剰な水分補給も逆効果ですので避けましょう。素肌を露出させないことも大事です。足首、手首、首などは特に外気から守るようにしましょう。加えて、玉ねぎ、生姜など温めるものをこまめに摂ること。適度に動いて熱を発生させること。シャワーで済ませず、湯船に浸かることなどが考えられます。

熱タイプの日常の対策は、酒、揚げ物、香辛料の多いもの、肉類、チョコレート、味の濃い食事を避けること。まずはこれを徹底するようにしてください。その上で、きゅうりやトマト、セロリやどくだみ、ハトムギ、緑豆もやしなど、余分な熱を冷ましつつ、不要物を排出する力を持ったものを摂るのが良いでしょう。目のかゆみには、菊の花のお茶が良いですし、喉のイガイガにはミントティーがおすすめです。

冷えタイプ、熱タイプも元は衛気の不足ですので、脂っこくて味の濃いものをさけて、生もの、過剰な水分は控えるという胃腸ケアはどちらも徹底するほうが改善を早めてくれます(衛気は胃腸で飲食物から作られますから)。そして10分でも早く寝ることが、エネルギーを日中しっかり体表に巡らせることに繋がります。

つきなみですが良い食事と良い睡眠が、花粉症対策でも必須です。

このように花粉症の対策は、まず日々の食事のチェックをして、その後、食事の改善と漢方薬の服用を行い、経過を見ていきます。
花粉症の症状が出てきてからになると、できることが少なくなってしまいますので、まずは予防に向けて1日でも早く動き出すことが大事です。

それぞれに適した療法があるので、お困りの方は早めに専門家にご相談くださいね。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

櫻井大典|ゆるかんぽう

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