豆ご飯が大好きな漬物男子、田中友規と申します。
今日はグリーンピースのお話です。
グリーンピースは元々ウズベキスタンから中国、そして日本に渡ってきた野菜。
ウズベキスタンのフェルガナ地区が漢の時代に大宛と呼ばれていたため「宛の豆(えんのまめ)」から「えんどう豆」という名がついたそうです。
漢字で書くと、なるほど、豌豆(えんどう)と書きます。はるばる日本へようこそいらっしゃいました。
不思議なことに、グリーンピース、つまりえんどう豆は、関東と関西で、支持層が大きく分かれています。
というのも、関東ではシュウマイの上に申し訳なさそうにシワシワしていたり、カツ丼の上で所在無げにこっちを見ている事が多いのですが、関西では春を告げるなにわの伝統野菜として確固たる地位を確立しているというではありませんか。

どうして、関東と関西でこんなに違いがあるのでしょう。
調べてみると、まずその種類の多さに驚きました。
さやえんどう、絹さや、スナップえんどうに、うすいえんどう、そして赤えんどうに、青えんどう。
さらには豆苗なんていうのもあるわけで、もうこうなると、知っているはずのグリーンピースに、君はいったい誰なんだ?と問いただしたくなってしまいます。
ひとつひとつ解きほぐしてみます。
前述の通り、グリーンピースは、えんどう豆全般の総称で、発芽してすぐの新芽を食べるのが「豆苗」、まだ実が膨らむ前のさやを食べるのが「さやえんどう」、そしてさやが硬くなって実が柔らかいうちに食べる「実えんどう」、
さやも実も硬くなってから茹でて食べる「干しえんどう」。
とにかく食べ方いろいろ、人類にとって大変都合のよい植物だったのです。

こんなに汎用性の高い野菜ですから全国に親しまれてもおかしくないはずだったのですが、明治時代、大阪府羽曳野市碓井町で、皮が薄く実の大きい実えんどうの「うすいえんどう」が開発され、一気に関西の食文化を担う野菜となったのです。
一方、関東では「みつまめ」文化が花開きます。
干した赤えんどうを蜜で煮込んで、甘味として「まめかん」や「あんみつ」として夏の風物詩となりました。
ぼくの住む京都では、4月の終わりあたりになると、山椒香る若竹汁と豆ご飯をいただきます。

昆布出汁の旨味が染み込んだ米に、ぷつりと口の中で弾けるえんどう豆の柔らかな食感。豆の甘く青い香りが広がります。
たけのこの新芽のサクッとした軽い歯ごたえは、その初々しさが、いかにも春なのです。
豆ご飯の付け合わせの漬物には、冬に漬けた間引き大根。
もうすっかり酸味の立った古漬けになってしまった冬の忘れ物は、次の季節が来る前にいただいてしまおう、とついつい食べ過ぎてしまうのでした。
日本の中でふたつに分かれた、グリーンピースの不思議な食文化。
あなたはどちらがお好みですか?

田中友規
料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。
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