おはようございます、こんにちは、風が気持ちいい季節ですね。エッセイストの藤田華子です。
緑が輝くこの時期に、小さく、白く、砂糖菓子のように咲く花があります。
そう、いちごの花!
私が育った栃木は、「とちおとめ」という品種が有名な苺の産地です。
ご近所にもいちご農園がたくさん。収穫の時期には、朝摘みのいちごをボウルいっぱい食べる贅沢な幼少期を過ごしていました。

さて、あの愛くるしい姿を思い浮かべてみてください。
たくさんの種がついているジューシーな果肉…って、実はその認識は誤り。
なんと、いちごの果実は、表面についているあのツブツブなんです!それぞれのツブのなかに種が入っており、一粒に200~300個の果実が集まっているという構造。私が果肉だと思って食べていたのは、花弁や雄しべ、雌しべ、がくなどのベッドの役割をする”花床(かしょう)”が膨らんだ偽果(ぎか)と呼ばれるもの。ちなみにリンゴやナシの実も、同じような作りです。種だと思っていた部分が本体だったなんて、知ったときには目からウロコが落ちました。

そんないちごがオランダ船に乗って日本にやってきたのは、江戸時代末期のこと。鮮やかでさぞ人気モノだったのかと思いきや、赤色が”血の色”を連想させるため、あまり普及しなかったとか。験を担ぐ日本人らしいエピソードです。
一般的に食べられるようになったのは、戦後、特に1960年代以降。ビニールハウスでの栽培が盛んになったことで、ようやく家庭のテーブルに並ぶようになりました。
パフェ、クレープ、いちご大福…想像を膨らませるなかで、ふと思い出したシーンがあります。
家族が入院し、お見舞いに行く道すがらケーキ屋さんに寄ったんです。そのお店は高齢のご夫婦が営んでいて、素朴だけど、丁寧に作られたことがわかるケーキが並んでいました。私の不安そうな表情に気付いたのか、レジにいたおばあさんがこんな話を。
「知ってる?毎月、22日はショートケーキの日なのよ。カレンダーで22のうえは、15(いちご)だから」
お茶目な話にくすっと笑ってしまい、22日ではありませんでしたが、もちろんショートケーキを買いました。ケーキの箱を持つと、萎んだ気持ちは少し元気に。苺のつややかな赤で、病室が華やいだのを覚えています。

いちごって、そんな大切な瞬間を演出してくれる存在だと思います。小さいけれどパワフルな人気もの、今年も旬のいちごを楽しみたいと思います。

藤田華子
ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。
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