漬物男子、田中友規です。
みなさんそろそろ天気予報を見ながらそわそわしている頃ではないでしょうか。
そうです、今日は梅干しのお話。
梅雨入り前あたりから市場に出回り始めた青い梅。
ヘタ取り、あく抜き、粗塩漬け。白梅酢があがってきたら、今度は赤紫蘇・・・と、たくさんの手仕事と時間を経て、いよいよ仕上げの天日干しという時期を迎えています。
梅の天日干しは、土用の丑の日を目安によく晴れた日に3日間連続で干す、と昔から決まっていて、さらに日中2、3回は上下を丁寧にひっくり返し、日が落ちれば室内に取り込まなくてはならない、まさに手塩にかけて梅のお世話をする一大行事なのです。
いつからかSNSでも#梅仕事なんて呼ばれるようになったこの時期だけの仕込み作業。日々キッチンでは時短!ゆる家事!と急ぎ足で食事をこなすことばかりが良しとされる世の中と思っていましたが、在宅やリモートが当たり前になったこの夏は、より丁寧に梅仕事に取り組んでいる方が増えたように思えます。
忙しかった毎日に緩急つけてじっくりと梅に向き合うのも、1年に一度くらいは良いものですね。

・・・と、こんな手慣れた風に梅仕事について書いている僕ですが、恥ずかしながら今年初めて梅干しを作りました。
漬物男子と名乗っているくせに!なんて声が聞こえてきそうですが
漬物は、塩と昆布で重石をしておけばいつの間にやら自然の力で美味しくなる一方で、工程も多くて1ヶ月以上かかる梅干しとは、似て非なる保存食。
一度くらいは梅干しを作ってみないとなぁと思ってはいたものの、もう何年も重い腰が上がらず。
そうこうしているうちに、実家の母から大量の手作り梅干しがどっと届くもので、毎年母の梅干しを言い訳に、来年でいっか、とやり残した宿題のように先延ばしになっていたのです。
きっかけは、数年前に僕がデザインしたプロダクト「Picklestone」。
冷蔵庫で漬物が簡単に作れるガラス瓶なのですが、今年初めて海外に向けて販売を行なったところ、世界各国から200人以上の#TSUKEMONOに興味を持った人たちと出会い、その中の一人のアメリカ人購入者から「UMEBOSHIは作れますか?」と質問が届いたのです。
・・・Picklestoneで梅干しが作れるか?
この質問に答えられるのは世界で僕一人。これは試してみないわけにはいきません。
「I'm going to give it a shot. I'll let you know when it's done!」
と意気揚々とメッセージを返信し、今年初めての梅干しに挑んだわけです。
まずは買ってきた梅を丁寧に洗い、ヘタの部分をつまようじでクリクリ。
熟し具合がまだちょっと、という梅にはお湯をかけてあげると柔らかくなると聞き、初めて赤ちゃんに沐浴させるような手つきで梅仕事に努めます。
しっかりと消毒した瓶に、梅と塩を交互に詰め込んでいきますが、この時も窮屈にならないよう優しく寝床を作るのです。
ゆっくりと布団をかけるように重石を置き冷蔵庫で寝かしつけます。
そこからは毎日梅酢がどのくらい増えたとか、上のほうの梅に塩が足りないんじゃないか、と。ついつい気になっては瓶を覗き込んでしまいます。ああ、これはまるで子育てのようだ。
子どもの成長を見守る親として、梅と向き合っているのです。

1週間ほどするとガラス瓶の中はたっぷりの白梅酢で満たされます。
「たくさん出たね、よく頑張ったね」と愛でながら今度は塩漬けにした赤紫蘇と交わらせ、我が子が赤く染まり大人の梅干しに育っていく様子をひたすら見守り、土用の丑の日を待つのです。
よくここまで怪我もせず立派な梅干しになった、とザルの上の梅に目を細め、迎えた天日干し当日、最後の梅仕事が始まります。
夏の日差しがじりじりと水分を蒸発させ、顔に塩を浮かべた梅たちもいよいよ凛々しい表情になってきます。夜露に当たると余計な水分が戻り質感が悪くなってしまうため夜の出歩きは厳禁。

しっかりと室内の安定した気温の中で保管し、翌朝ふたたび天日干しを繰り返します。シワを携えて一人前の顔つきになった梅干しは、3日前とはまるで違う佇まい。1年でも2年でもその味、その栄養価を蓄えておいてくれる立派な保存食となりました。
手塩にかけた梅干しは市販のそれとはやっぱり一味違うわけで、我が子が一番かわいい、とその若い酸味を一粒々々味わうのです。

心地よい労働を終え、やれやれと一息ついたのもつかの間。
来年はもっとこうしようかな、なんて今から思いを馳せてしまうほどですから、これはもう梅仕事の沼にどっぷり浸かってしまったのかもしれません。
この梅仕事の充足感、質問をくれたアメリカ人にどうしたら伝わるか。
I'm done!だけじゃきっと足りないね。

梅干しも作れる漬物瓶「Picklestone」
『自然な味わいのお漬物を、あなたの食卓へ。』
現代のライフスタイルに溶け込む、新しい形の漬物瓶。
漬物をつけてみたいけれど何から始めたらいいのか分からないという方におすすめです。サイズは3種類から。どのサイズも冷蔵庫に入る大きさです。
ぜひ、お試しください。
ご購入はこちらから
「Picklestone」Online Store

田中友規
料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。
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