アナゴ

旬のもの 2020.08.02

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こんにちは。漁師をしている三浦尚子です。今日はアナゴについてのお話です。

アナゴの主な漁獲地は長崎県。次いで島根県、宮城県と全国的に漁獲されていて、広く生息しています。
「アナゴ」という名前の他にも、「キンリョウメ」、「デンスケ」、「ハム」、「ハモ」など、地域によって呼び方が違うそう。はじめて漁師さんから「ハムがさ〜」と聞いたときは、「ハムって、肉のハム???」となったのですが、よくよく聞いてみたらアナゴのことでした。
5センチくらいの幼魚のときは「のれそれ」と呼ばれ、すーっと透き通ったきれいな体をしていて「水の妖精」と呼ばれるそうです。

アナゴは夜行性で日中は砂や泥に潜っていて、日が沈むとエサを探しに活動をはじめます。大雨の後など、海水が濁っていたりすると出てくることも。
頭の先端を使い、砂底の潜りやすい場所を探して、尾のほうから後ずさりして砂の中にもぐりこむのですが、水族館でよく見る、チンアナゴのような姿を想像していただけるといいかもしれません。
私はチンアナゴが砂の中からにょきっと顔を出す姿がかわいいなあと思って、水族館に行くとチンアナゴをしばらく見ちゃいます。

ところで、アナゴ漁には、「筒漁」と呼ばれるものがあります。小さなロケットのような形の円筒状の漁具の中にエサを入れて、ひとつひとつ海に投入し、アナゴを筒の中におびき寄せる漁法です。入り口の内側には一度入ったら逃げられないように「かえし」と呼ばれるものがついています。漁具には小さな穴がポツポツと開いているものがあるそうで、資源保護のために小さなアナゴは逃げられるようにしています。円筒をたくさん仕掛けている漁師さんにとっては、ひとつひとつ引き上げて確認していくので、肉体的にはなかなかハードな漁です。

見た目はなんとなくウナギと似ているようですが、実は全然違う魚。
ウナギは冬が旬で回遊性の淡水魚、背は黒、尾は丸くなっています。アナゴの場合、夏が旬でずっと海にいる魚です。全体的に褐色で側面に白い斑点があり、尾はとがっています。両者をよくよく見ると、かなりの違いがあるのです。
そして、ウナギはこってり、アナゴはヘルシーと、食べたときに感じる脂も違います。
アナゴはヘルシーであっても栄養価は高く、活性酸素を抑えて動脈硬化や心筋梗塞の予防や免疫力を高めるビタミンAが豊富です。
関東では煮たり天ぷらに、関西では焼くなど、地域によって調理法に違いもあります。みなさんはどの食べ方がお好みでしょう?私はシンプルに白焼きが好きです。

ウナギには少し劣るかもしれないけど、アナゴも滋養にいいものです。
今日8月2日は「土用の丑の日」(二の丑)でもあるのですが、ウナギではなくアナゴを選んで食べる日があってもいいかもしれません。ぜひ、旬のアナゴを食べていただけるとうれしいです!

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三浦尚子

漁師・ライター
神奈川県出身、岩手県在住。春が好き。ほっとする暖かさと、生き物が活発に芽吹いていく空気が心地よく感じます。趣味はカメラとおいしいごはんを食べること。夜明け頃の海が好きで、ときどき海の写真を撮っています。

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