こんにちは。国際中医専門員の櫻井です。
残暑きびしい2020年ですが、暦の上ではもうすっかり秋。秋とは、立秋(8月7日頃)から立冬(11月7日頃)の3ヶ月を指します。暑さばかりに気を取られていると、季節の変化で体調を崩す事となるのでご注意ください。
中医学の古典、素問の四気調神大論には、秋の養生法が次のように書かれています。
秋三月、此謂容平。天気以急、地気以明。早臥早起、与雞倶興。使志安寧、以緩秋刑。収斂神気、使秋気平、無外其志、使肺気清。此秋気之応、養收之道也。逆之則傷肺、冬為飧泄、奉蔵者少。
「秋の3ヶ月は実りと収穫の季節である。ときに冷たい風も吹き、葉も枯れ落ちる。この季節の特徴に従って早寝早起きし、過労せず、気持ちを穏やかに保ち、冷たい空気にあまりさらされない様にするのがよい。これが秋の良い養生方法である。もしこれに逆らっていると、冬になると下痢を起こす。」
となります。
秋は、夏の暑さで強まっていた陽気(陽)が影をひそめ、代わりに寒気や冷気(陰)が徐々に強まる陰陽転化の時期。草木は枯れ、生と死が交差する季節です。この変化に身体も順応しなくてはならず、うまく対応できないと不安や怒りなどの精神的な症状も現れやすくなります。

中医学では、春に種をまき、夏に繁栄させ、秋に収穫し、冬はその収穫をもとにゆったりと過ごすことが、自然の摂理に沿った良い生き方であるとされています。秋は、夏にしっかり活動した結果を収穫していく時期なのです。なので、秋になってから、あれもできていない、これもできていないと焦ったり後悔するのは良くなく、ゆったりと構えて、おおらかに過ごすことが大切です。
ちなみに、秋にこのように出来るかどうかというのは、春にストレスを溜めずに、人にやさしく過ごしていたか、夏はしっかり笑って活動出来たかによるとされています。

貝原益軒の養生訓では、“秋は夏の間に開いていた肌がまだ閉じておらず、冷たい秋の風に痛められやすい”と述べられています。やっと涼しくなって、心地よく感じられる秋の風ですが、夏の暑さで緩んだ肌には負担になりやすく、冷えや痛みや咳、乾燥といった不調を生み出しやすくなります。
秋の養生では、冷えるものや冷たい風に気を付けること。そして、早寝早起きを心がけ、心は穏やかに過ごすことが大切です。外出時は一枚羽織るものをもっておき、冷たい外気に素肌をさらさないようにし、朝のきれいな空気を肺一杯に取り込んで深呼吸なども良いでしょう。
そして秋は空気が乾燥しますので、乾燥に弱い肺を含む呼吸器系(肺、鼻、喉、皮膚)と中医学で肺とつなりのある大腸の疾患に注意が必要です。

冒頭にあげた中医学の古典『素問』でも、秋になってもまだ冷たいものを摂りすぎたり、乾燥をいとわず肺を傷つけたりすると、冬には下痢しやすくなり、体力を消耗して、カゼなどの病気にかかりやすくなると言われています。
この時期の食養生としては、冬の寒さに備えて、イモ類、栗、米、かぼちゃなどを摂り、元気を養うこと。また、大根、ネギ、辛子など、少量の辛味を摂ることで、呼吸器系や肌を強く保てます。ただし多量の唐辛子や生姜などでは、発散しすぎてしまい、体力や潤いが消耗され逆効果となってしまいますので、ご注意ください。
また、潤いを補うには、果物が良いでしょう。ブドウ、梨、りんごなどを少しずつとりましょう。秋にメロンやスイカ、パイナップルなどを冷たいまま食べるのは身体を冷やしてしまうので避けるようにしてください。この季節も潤いは飲むのではなく、食べて補うことを心がけましょう。


櫻井大典
国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。
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