こんにちは。漁師をしている三浦尚子です。今日はサンマについてのお話です。
サンマといえば、代表的な秋の味覚のひとつ。「サンマ」という呼び方にはふたつの説があるそうです。ひとつは体が狭い魚を意味する「狭真魚(さまな)」という言葉が変化したという説。もうひとつは大群をなして泳ぐ習性を持つことから「大きな群れ」を意味する「サワ」と、「魚」を意味する「マ」が合わさった「サワンマ」が語源の説。ここから派生して「サンマ」と呼ばれるようになったそう。
サンマは日本近海に住んでいる魚ではなく、北太平洋のハワイの北あたりに住んでいます。日本で流通しているサンマは、日本近海を回遊するタイミングで獲れたもの。秋頃に卵を産むために回遊をはじめ、その群れの一部が日本の近くを通ります。出産のタイミングでしか日本の近くまで来ないので、サンマは秋頃にしか獲れないのです。水温が低くなると身に脂肪を蓄えるのですが、北海道から少しずつ南下していくと、徐々に身の脂が落ちていきます。なので、北海道あたりで獲れたサンマは脂が乗っていておすすめです!

ところで、前に友達と一緒に七輪でサンマを焼いていたら、一瞬で焼け焦げになったことがありました。サンマの油で炭の火力が強まりすぎて、じっくり焼ける前に表面の皮が黒くなって、ひっくり返したら皮がぺろんとなくなってました…。一気に火力が上がるほど、旬のサンマの油はすごいのです。
油といえば、江戸時代のはじめ頃のサンマは庶民に好まれていなかったそうで、「油とりの魚」とされていました。魚油は菜種油と比べると安く、サンマなどから採れた魚油を使って行灯の火を灯していたそう。あの七輪の火力を見たら、明かりを灯すために使ったのも納得です。

毎年8月になると、サンマ漁のために船が出航していきます。私の住んでいる地域の隣町、気仙沼では福来旗(ふらいき)と呼ばれる旗を降って、家族や水産関係の人たち、ご近所さんたちが漁師さんたちを見送る「出船送り」があるのですが、家族の航海の安全や大漁を願って、旗を振り続けてみんなにエールを送ります。
そして、出航した船は北海道に停泊して、漁の準備。船の大きさごとに漁が解禁されてサンマ漁が始まります。
サンマ漁といえば「棒受け網漁」と呼ばれる漁法があるのですが、光に集まるサンマの習性を利用して夜に行われます。「集魚灯」と呼ばれるライトを使い、船の右側を照らしてサンマを集めている間に左側に網を張り、次に左側にライトを照らすと光を求めて移動してきたサンマが仕掛けた網に入ります。

最近では不漁が続いてるため、値段が高くてすこし手が届きづらいイメージがつきつつあるサンマ。日本への来遊自体が減ってきていることや、サンマの寿命が1〜2年と短いなどの理由もあり、去年は獲れていても今年は獲れないなど、事前の予測が難しくなっています。
ただ、その年の価格でサンマを食べることによって、漁師さんたちは次の年もサンマ漁に出られるので、一概に安いのがいいとは限らないなあと思っています。
旬のサンマを食べるなら、やっぱり塩焼きがおいしい。表面が少し焦げつく程度に焼いて、そこにすりおろした大根おろしとすだちを乗せる。そこにみそ汁とごはんを用意したら、これだけで満足なごはんの出来上がり。みなさん、旬のサンマをぜひご賞味あれ!


三浦尚子
漁師・ライター
神奈川県出身、岩手県在住。春が好き。ほっとする暖かさと、生き物が活発に芽吹いていく空気が心地よく感じます。趣味はカメラとおいしいごはんを食べること。夜明け頃の海が好きで、ときどき海の写真を撮っています。
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