こんにちは。気象予報士の今井明子です。
秋は一年でもっとも空を見上げるのが楽しい季節です。
空気は澄みわたり、空は春よりも青く、雲の形も実にさまざま。
まさに「天高く馬肥ゆる秋」です。

秋の雲として印象的なのが、鱗雲や羊雲です。
空に雲の塊がたくさん並んでいる姿を見ると、「秋が来たなあ……」と思います。
さて、このような、たくさんの小さな雲の塊が並ぶような雲にはさまざまな名前がついています。
鱗雲、鰯雲、鯖雲、羊雲などなど……。
実は、このような雲は、雲の高度に応じて大きく2種類にわかれます。
鱗雲、鰯雲、鯖雲は専門的には「巻積雲(けんせきうん)」と呼ばれます。
そして、羊雲は「高積雲(こうせきうん)」です。


巻積雲にカテゴライズされる雲は、対流圏の中でももっとも高度の高い場所にできる雲で、ほとんどが氷の粒でできています。雲の塊は小さく、薄くて透き通っています。
鱗雲、鰯雲、鯖雲とさまざまな名前で呼ばれているのは、形がバラエティ豊かだからです。魚の鱗のような形は鱗雲、鰯のような形は鰯雲、鯖の縞模様のような形をしているのが鯖雲というわけですね。

一方で、羊雲は鱗雲などの巻積雲よりも高度の低い場所にできます。「高」とつくのでまぎらわしいのですが、「巻」より「高」のつく雲のほうが高度は低いです。
雲の粒は氷の粒でできているときもあれば、水の粒でできていることもあります。ひとつひとつの雲の塊が大きいですし、雲が立体的で陰影もあります。

巻積雲と高積雲の見分け方は、空に向かって人差し指をかざし、雲の塊が指先の中におさまるかどうかで判断します。鱗雲(巻積雲)は人差し指の先よりも小さく、羊雲(高積雲)は人差し指の先よりも大きいのです。
なお、これらの雲は、雨を降らせる雲ではないのですが、実は温帯低気圧に伴う温暖前線が近づいているサインです。特に、巻積雲よりも高積雲の方がより温暖前線に近いです。「鱗雲が出たら3日のうちに雨、羊雲が出ると翌日雨」なんて天気のことわざもあるくらいです。

秋は太平洋高気圧の勢力が弱まり、大陸から移動性高気圧と温帯低気圧が交互に日本を訪れて通過しています。そして、周期的に天気が変わります。秋の多様な空模様は、この周期的な天気の変化に伴うものなのです。

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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