和暦研究家の高月美樹です。
鵯(ヒヨドリ)は晩秋の季語。甲高い声で「ひーよ、ひーよ」と鳴くので、ヒヨドリ。体が大きいので目立ちやすく、都心部にもよくいるおなじみの留鳥ですが、晩秋になると柿の実などを争って、激しい縄張り争いが始まります。「キーッ」「キエー、キエー」「キエッキエッキエッキエッ」となんともけたたましく、決して美しい声ではありませんが、よく響き渡る声です。

とはいえ、ヒヨドリの鳴き方にはかなりバリエーションがあり、個体差もあります。「ピヨリーナ、ピヨリーナ」とか「ピョロリ、ピョロリ、ピョロリ」と繰り返し鳴いていたり、「ツツピーッ」と近くにいるシジュウカラの鳴き声を真似てみたり、ウグイスやカッコウの物真似をすることもあります。
あるとき、近所で「チョットコイ〜チョットコイ〜」というさえずりが聞こえたので、まさか、コジュケイ?!と、声のする樹の下に行ってよく確認してみたらヒヨドリだった、ということがありました。単独でしきりに鳴き続け、どうも鳴くことを楽しんでいるようで、面白く感じました。

ヒヨドリといえば、果実だけでなく、花の蜜が大好きです。ヤブツバキは鳥媒花で、ヒヨドリはツバキの丈夫な枝につかまって花芯の奥にある蜜を吸います。ヤブツバキのやや下向きに咲く筒状の花は、鳥が下から蜜を吸いやすいようにデザインされています。大きな頭をズボッと突っ込むので、ヒヨドリが訪れた後は花芯がすっかり潰れていて無残にみえますが、それはツバキ自身が選んだ戦略。ヒヨドリが次の花に頭を突っ込めば、見事に受粉に成功します。

メジロも「蜜吸い」ですが、体重わずか11グラムの小さなメジロは花びらにつかまり、上手に蜜を吸いますので、メジロが訪れても花芯はまったく乱れませんが、よくみると花びらに黒い点のような小さな爪痕が残っています。そんな痕も愛おしいものです。
10月ごろに咲き始めるサザンカは基本的には虫媒花で、ハナアブなどが来やすいように上向きに平たく咲き、虫が活動できる時期に咲き終わりますが、ヒヨドリもしきりにやってきますので、鳥媒花でもあります。サザンカやツバキは鳥の需要に答えて大量の蜜を蓄えていますし、ヒヨドリは蜜をなめるための長い舌を持っています。

気の強いヒヨドリは小さなメジロやシジュウカラをいじめて追い払うことが多いので、バードウオッチャーには人気がなく、あまりかわいいという感じはしませんが、顔も頭も真っ黄色にしているのを見たりすると、思わず笑ってしまいます。もともと、ちょっとボサボサした頭と茶色のほっぺが特徴。そして彼らは花の受粉にも大いに貢献しています。これからの季節、彼らの頭が黄色くなっていないか、ちょっと確かめてみてください。


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