漬物男子、田中友規です。
北海道が好きで、「豚肉」、「小麦粉」、「乳製品」など毎年テーマを決め、5日間ほど食の旅に出ます。
時期はいつも決まって秋の紅葉が美しい10月下旬。
まだ知られていない味を求めて、google mapの航空写真で見つけた小さな牧場を訪れたり、商工会のサイトから地元民しか知らないような食品系企業を覗いてみたり。
ハッシュタグすらつかないSNSの隙間を探して旅しています。
ある年に、「北海道大学の学食には安くて美味しいものがあるのではないか」と
ふと思いつき、東京ドーム38個分とも言われる広大なキャンパスに潜入したことがありました。
学食のメニューには、スープカレー、ザンギ定食、豚丼、牛トロ丼など。
いかにも北海道らしいラインナップが並び、どれもそこらの店よりもずっと美味しくて、なにより安い。
もちろん誰かに教えたくなるというような類の味ではないのですが、北大の学食はこういう味だ、と心のメモに残し、またひとつ北海道のことを知れたことが嬉しいのです。
胃も心も満されてホテルに戻る帰路、通り抜ける北大のイチョウ並木が素晴らしく、その場にあるすべてが、金色に輝くような遊歩道に心を奪われ、こんなキャンパスに通いたかったなぁ、と思わず呟いてしまいます。

ふと、あることに気付きました。
・・・ギンナンを拾う人がいない。
関西では雌株から落果したギンナンを競って拾う光景が、
夕方のニュースになるほど秋の風物詩として見慣れた光景。
しかし札幌では、そもそも「あの匂い」もしてこない。
調べてみると、北海道ではあまりギンナンを食べないそうで、なんと茶碗蒸しには栗の甘露煮が入っていることも少なくないそうだ。
どうやら札幌では意図的に、実をつけず、匂いのしない雄株を中心に植林し、実を拾うことは目的としていなかったようです。

ところで街路樹になぜイチョウが多いかご存知でしょうか。
イチョウはスポンジのような樹皮で覆われており燃えにくく、関東大震災での教訓で、火災などを食い止めるために多く街路樹として植えられたのだそう。
つまり大学や庁舎の周りには、かつて木造だった大型建造物の防火目的としてたくさんのイチョウが植えられた、ということなんですね。
北海道では、美しいイチョウ。関西では、美味しいギンナン。
今年の北海道旅行は見送りのため、自宅で美味しいギンナンのほうを楽しむことにしました。
ギンナンが少し埋もれる程度の塩をフライパンに敷き、中火でシャラシャラと塩ごと煎っていきます。

塩は味付けではなく、遠赤外線効果でギンナンをふっくらと仕上げる役目。
割れた殻から覗く翡翠色はまだ実が若く、黄色ければ成熟している証拠。どちらもそれぞれの美味しさがあります。

もちろん出来上がりをそのままハフハフといただくのも良いですが、味噌漬けという手もあります。
【材料】
・ギンナン 200g
・白味噌 大さじ1
・砂糖 大さじ1
・味醂 大さじ1
・塩 少々
【作り方】
殻を取ったギンナンを薄皮ごと熱湯で5分ほど茹でる。
ザルにとって、薄皮を剥く。
合わせ味噌に、ギンナンを漬け込み、約1日冷蔵庫で寝かせて完成。
白飯に合う漬物というよりは、むしろアテ。
チーズのような発酵感が加わり、クセになってしまいます。
年々短くなるような秋の季節、今だけの味を
塩か、味噌か、あなたはどちらで味わいますか?

田中友規
料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。
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