漬物男子、田中友規です。
夏からずっと冷蔵庫に閉まっておいた赤梅酢は、我が家で漬けた梅干しが残してくれたお土産です。
京都大原の赤ジソと岩塩とが溶けあって、極彩色の紅となった梅酢。
今朝は、お節の練習に蓮根を漬け込みました。

不思議なもので、蓮根は漬物にすると真っ白ですが、煮物にすると、鼠色です。
その色の違いはどこからくるのでしょう?
レンコンは元来泥の中にあり、色は乳白色。それが掘り起こされ空気に触れることで、タンニンが酸化して変色します。
さらに、フライパンや包丁など鉄の成分に触れるとその反応はさらに進み、紫がかった鼠色に変化する、という訳です。
もちろん味に影響はありませんが、食感は大きく変化するようです。
熱を加えず酢で調理した場合はシャキシャキ、熱をじっくり入れた場合は、もっちり。
頭ではわかっているものの、2つの食感の蓮根を食べ比べたいと思い、熊本の郷土料理「辛子蓮根」を作ってみることにしました。
材料
・蓮根 1節
・辛子味噌 適宜
・小麦粉 適宜
・ターメリック 適宜
【 辛子味噌 】
・練り胡麻 10g
・みりん 小さじ1
・砂糖 10g
・粉和辛子 10g
・白味噌 100g
・粒マスタード 小さじ1
酢を加えたお湯で下茹でした蓮根の穴に、辛子味噌を練り込み30分ほど馴染ませます。
衣には小麦粉、揚げた時のさっくり感を狙います。
焦げ付かないように鍋底に蓮根をつけず、竹串で浮かせたまま油をかけながら揚げます。

適当な厚さに切り分けて完成。
熱で甘みの増したホクホクの蓮根に、酸味と辛味が不思議とよく合います。
しかしなぜ熊本だけが辛子蓮根を食べるようになったのか。
調べてみると、その歴史は17世紀まで遡ります。
当時の熊本の藩主、細川忠利は病弱で、医者が滋養強壮になる蓮根をすすめましたが、泥で育った蓮根を不浄だと言い、手をつけなかったそう。
そこで生まれたアイデアが、蓮根の穴に辛子味噌を詰め、衣をつけて油で揚げることで、見た目には蓮根とは気づかず食べ、大変気に入ったとの逸話が残されています。

また蓮根の穴が細川家の家紋である「九曜紋」に似ている事から、門外不出の料理となり、明治時代になるまで一般に広まる事はなかったのです。
まさか辛子蓮根が広まらなかった原因は家紋だったとは!
ぼくの息子は能楽を習っており、その流派は「九曜紋」の金剛流。
とても身近な家紋だったのに、蓮根と繋がっていたとは知りませんでした。
蓮根は、先を見通す縁起物。
息子には蓮根を挟んだメンチカツ、大人は辛子蓮根で。
滋養をつけ、健やかに、晴れやかにこの冬を過ごしたいと願うのでした。


田中友規
料理家・漬物男子
東京都出身、京都府在住。真夏のシンガポールをこよなく愛する料理研究家でありデザイナー。保存食に魅了され、漬物専用ポットPicklestoneを自ら開発してしまった「漬物男子」で世界中のお漬物を食べ歩きながら、日々料理とのペアリングを研究中。
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