こんにちは。気象予報士の今井明子です。
突然ですが、皆さんは雲を触ったことがありますか?
空に浮かぶ雲を見ると、「あの上に乗ってみたい」「わたがしみたいでおいしそう……」と想像が膨らみますよね。

しかし、実はかなり多くの人が雲に触ったことがあるのです。もし、霧の中を歩いたことがあるのなら、それは雲に触ったということになります。
なぜなら、霧は地面に接する雲だからです。霧の中は真っ白で、歩くと体がしっとりと濡れます。霧(雲)の正体は、小さな液体の水の粒ですからね。
というわけで、霧の中を歩けば、「雲には乗れないし、雲って別においしいわけではないんだな」と思ってしまうことでしょう。

さて、晩秋から初冬にかけては、雲海が発生しやすい季節です。
山の上や高台から盆地を見渡すと、まるで雲が海のように広がっていて、実に神々しいものです。

この雲海の正体は、層雲や層積雲と呼ばれる低い場所にできる雲です。これらの雲が地面に接すると、地上にいる人にとっては霧が出ているということになります。
雲海はさまざまな条件が重なってできるので、高台に行けば必ず雲海が見られるわけではありません。雲海を発生させる原因としてもっとも多いのが「放射霧」です。これは、放射冷却によって発生する霧のことをいいます。

地球は太陽からエネルギーを得ていますが、実は太陽から受け取ったエネルギーは地球から宇宙空間に向かって放出されています。昼間は、地球から宇宙に放出されるエネルギーよりも、太陽から得られるエネルギーの方が多いため、気温が上がります。しかし、夜は太陽からはエネルギーが得られず、地球からエネルギーが放出される一方なので、気温がぐんぐん下がります。これが放射冷却です。特に、風が弱く晴れた夜だと、放射冷却が起こりやすく、夜明け前にぐんと気温が下がります。

このとき、地表付近にある空気が冷えることで、空気中の水蒸気が水に変わります。これが霧を生み出します。盆地は放射冷却で冷やされた空気がたまりやすいので、放射霧ができやすく、それが雲海となって見えるというわけです。
晩秋から初冬にかけては、放射霧が発生しやすい季節なので、この時期に雲海が出やすいのです。ちょっと早起きして高台に登ると、感動の絶景と出会えるかもしれません。


今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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