2020年もあとわずか。冬至を迎え、少しずつ春へ移ろいゆく季節ですが、ここから本格的に寒くなり、まだまだ身体が芯から冷える寒さが続きます。そんな季節に食べたくなるのが、鍋におでん、うどんやそばなどあたたかいもの。
お出汁がたっぷり染み込んだおつゆは格別で、身体をポカポカとあたためてくれます。

年末には「年越しそば」を食べる人も多いと思います。
年越しそばは江戸時代から始まった日本の食文化で、大晦日に1年を平穏無事に過ごせたことに感謝して食べる風習があります。なぜそばを食べるのかというと、他の麺類よりも切れやすいことから、「今年一年の災厄を断ち切る」意味があります。
そんなそばの中でも簡単に作れて親しみのあるものが、「月見そば」。
熱々のかけそばに生卵をポンと落としたもので、卵の黄身を夜空に浮かぶ月に見立てたので、「月見そば」と呼ぶようになりました。

卵を落とすときれいな満月が浮かび上がって、そばの熱によってだんだんと卵白があたためられます。
それが朧月のようだとも言われていて、黄身に箸を入れてかき混ぜると月の明かりは闇夜に消えていきます。お椀の中で繰り広げられる風流な景色。日本人の心象がうつしだされているようです。

私は一人暮らしを始めた頃によく、月見そばを食べていました。
あたたかいものが食べたい!という日は、スーパーでそばと卵、お出汁を買って作りました。嬉しいのは、料理が苦手な人でも材料を入れて煮込むだけで簡単にできてしまうということ。
ただ、すぐできるのに特別感があるのは、「卵」の存在が大きいと思います。そばだけだと質素になりますが、鮮やかな黄色の卵が入るだけで食卓にパッと華やかさが増しますし、さらりとしたおつゆに卵のコクが絡み合ってお腹と心を満たしてくれる。
おつゆのあたたかさでどんどん卵の景色が変わっていく様子も面白くて、完全に火が通りきっていない半熟の状態で食べることを好んで熱々をかけこむように食べていました。

今年は年末をお家で過ごす方も多いと思いますが、1年の締めくくりに月見そばを食べてみてはいかがでしょうか。
大掃除や片付けの合間に簡単に作れる月見そば。熱々のおつゆに浮かぶ月を眺めながら、今年1年無事に過ごせたことを感謝して、細く長く、来年もおだやかに過ごせることを願って。


松下恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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