ダイエット

旬のもの 2021.01.24

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こんにちは、国際中医専門員の櫻井です。

クリスマスに年末年始、今年はなかなかこういう状況ではありましたが、それでも食べすぎ飲みすぎで、体重が、、、という方も少なくないのではないでしょうか。

よく言われる“正月太り”の多くはむくみなので、飲食を整え、しっかり寝るようにしていると、徐々に改善されるものではあります。ただし、残念ながらそれでも体重が戻らないということもありますよね。

中医学で“痩せない原因”は、人それぞれ違うと考えます。実際は個別の状況を細かく伺う必要があるのですが、今回はその中でも特徴的な4つのタイプに分類して解説します。

1. 疲れやすく、胃腸が弱い「気虚タイプ」
2. イライラ憂鬱など情緒変化が激しく、ガスが溜まりやすい「気滞タイプ」
3. 暑がりで、便秘気味、舌には苔がべったりな「湿熱タイプ」
4. シミやそばかす、くすみなどがあり、頭痛・肩コリ・月経痛など、痛みが強い「瘀血タイプ」

1. 疲れやすく、胃腸が弱い「気虚タイプ」

気虚(ききょ)タイプは、「食べる量は少ないのに痩せない、ぽっちゃりタイプ」です。食事制限をしすぎてしまっている方に多く見られます。そもそも食べる量が少なすぎて、体全体のエネルギー不足を招いており、疲れやすく、冷えやすく、痩せにくいという状態になっています。
筋肉量も少ないので、基礎代謝も低く、脂肪も付きやすいです。加齢に伴い梨型の下半身太りになりやすいのもこのタイプ。

このタイプは、お菓子ではなく、まずちゃんとした食事をしっかり食べましょう。さっぱり味の加熱した葉物野菜を中心として、穀類や肉や魚などを適度に食べてください。豆、きのこなども良いですね。

例えばご飯があり、野菜たっぷりの味噌汁があり、魚や肉が少しある。ノリや漬物があればなおよし。完璧じゃなくてもまずは味噌汁とご飯の食事が、しっかり食べられるようになると、体が正しく活動できるようになり、健康的に痩せるエネルギーも生まれてきます。

このタイプはエネルギーが足りていないので、いきなり激しい運動は禁物です。軽いウォーキングやストレッチなどから始めましょう。

2. イライラ憂鬱など情緒変化が激しく、ガスが溜まりやすい「気滞タイプ」

気滞(きたい)タイプは、「ストレスが体重に影響するタイプ」です。体重の変化が激しく、忙しく、食事のタイミングや生活リズムが乱れている人に多いです。
精神的なストレスを抱え、情緒が不安定な方も多く、極端なダイエットに走りがちで結果をすぐに求めてしまいます。体型は、張るように浮腫み、ガスが溜まりやすくお腹がぽっこりの人も多いです。

このタイプに我慢は禁物です。食べないとか、一つの食材に絞って毎日食べたりなどは、ストレスが余計にかかり、その反動による暴飲暴食で体調を更に悪化させます。好きなものを組み合わせつつ、楽しみながら心の負担を取り除く対策をしましょう。
おすすめは柑橘類や香味野菜など香りがたつもの。これらは気分を変える働きがあると薬膳では考えます。日々の食事に取り入れて見てくださいね。

運動は、一時的な激しい運動も悪くは無いですが、やらないときとの落差が激しくなります。このタイプは特にそういった極端なことに走りがちなので気をつけましょう。おすすめは全身を使いリラックスにつながる運動です。ヨガや太極拳など、深い呼吸を意識する運動や、ウオーキングやジョギングなど一定のリズムがあるものが良いでしょう。

3. 暑がりで、便秘気味、舌には苔がべったりな「湿熱タイプ」

湿熱(しつねつ)タイプは、「食欲旺盛で熱がこもりやすいガッチリタイプ」です。早食いで大食い。声も大きく、冷たいものや脂っこいものも大好きな方。一見、健康にも見えますが、これは“熱の邪気の興奮”によって作られた偽の食欲や活動量で、正常な状態ではないと考えます。

このような状態の方は、外見は健康でも、内臓は弱っている事が多いです。脂っこいものや冷たいものが苦手な胃腸は特に疲弊していることでしょう。すると、不要物を排出する力も低下するので、太りがち。

このタイプはまずはゆっくり食べることを意識しましょう。そのためには少しずつしっかり噛んで食べることが大切です。ただ、慣れた一口を意図的に小さくするのはなかなか難しいもの。なので、せめてしっかり噛めるように箸置きを使うことをおすすめします。ひとくち食べたら箸置きへ。しっかり噛んで食べましょう。もちろん、脂っこいものや冷たいものは程々に。

溜まった不要物を排出するためにもしっかり運動しましょう。ランニングやサイクリングなども良いですが、熱がこもりやすいタイプなので、水泳もおすすめです。

4.シミやそばかす、くすみなどがあり、頭痛・肩コリ・月経痛など、痛みが強い「瘀血タイプ」

瘀血(おけつ)タイプは、「ドロドロ血が悪さをしているタイプ」です。見た目はそうでもないのに、内蔵脂肪が多いとか、食事の量を減らしてもやせにくいタイプです。血がドロドロの瘀血(おけつ/悪い血の意味)になってしまっていて、新陳代謝を邪魔しています。

若い頃は痩せていたのに、30を過ぎるころから太りだしたという方には、この瘀血が関わっている可能性が高いです。運動量の低下、食生活の悪化、冷やすファッションや、精神的なストレスなどが影響します。瘀血が生まれ、血の巡りが悪くなると、シミやくすみ、頭痛や肩コリといった痛みも目立つようになり、女性では月経痛がひどくなり、男女ともに不妊やアルツハイマーなどにも繋がります。瘀血は太りの元だけではなく、万病の元。早めに対策しましょう

血は温めることを喜び、冷えを嫌います。まずは、冷やさないことを意識しましょう。どんな場所でもかならず肌を覆うものを一枚持ち、エアコンや外気による冷えを予防しましょう。冷えは足元からなので、特に下半身の冷えにはご注意くださいね。靴下はしっかりくるぶしの上まで隠れるものを履きましょう。

お風呂はシャワーで済ませず、湯船に浸かりましょう。忙しいときはバスタブに栓をしてシャワーを浴び、足湯や腰湯をしましょう。運動も大切ですが、日中座り続けないことを意識しましょう。1時間に一回は動く。屈伸でも、肩回しでもなんでも良いので、まめに動きましょう。

冷たい飲食も、夏場で屋外にいるとき以外は控えめに。また、内蔵を冷やし弱らす冷たいサラダや果物、甘い清涼飲料水などもできるだけ控えましょう。美食や過食も瘀血の元です。お気をつけください。

最後に

ダイエットの語源は古代ギリシア語のDIAITA(ディアイタ)、“生活習慣”という意味です。闇雲にカロリーだけを気にするのではなく、タイプを見極め適切に対処することが大切です。そして体重という数字だけにとらわれず、正しい生活習慣を身に着け、健康になることを目標にしてくださいね。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

櫻井大典|ゆるかんぽう

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