むくみ

旬のもの 2021.02.20

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こんにちは、国際中医専門員の櫻井です。

正月明け、体重が戻らないとのご相談をよくうけるのですが、たった1〜2週間で2キロも3キロも脂肪が蓄積されることは早々ありません。これらの増加の多くが水分代謝異常からくる“むくみ”であることが多く、その殆どが食事や生活習慣を戻すことで改善されます。

中医学では、むくみなど体内の水液の停滞を「水腫(すいしゅ)」といいます。

その概念は、

体内に水液が溜まり、皮膚に溢れたりして、眼瞼や顔面・四肢・腹部・はなはだしければ全身に浮腫が生じ、さらに胸水や腹水を伴うこともある病証である。(中医内科学 鄒 大同 訳)

とされています。

西洋医学では、右心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群、急性腎炎、慢性腎炎、腎不全、甲状腺機能低下症、接触不良、悪性腫瘍や突発性で原因不明の浮腫などが含まれます。

このような病気の状態でなくとも、朝起きたら顔がパンパンとか、夕方になると足首が無くなるとか、日常的にもむくみを感じる方は少なくないでしょう。
今日は一般的に皆さんが、あーなんかむくんでるな〜という感じの症状のお話をさせていただきます

むくみの要因はさまざまで、よく言われるのが塩分のとりすぎです。
塩分をたくさん取ると、塩分濃度が高まり、それを薄めるために体は水分を溜め込むわけです。その他、長時間同じ姿勢でいることもむくみの要因となります。立ち仕事で1日中立っていると、重力により足元に水分が溜まりますし、座り過ぎでも血液が体の末端に停滞して、溜まってむくみます。

なので、まずは塩分をひかえて、よく動くというのが対策の基本となります。

では中医学ではむくみの要因をどう見るかといいますと、要因は5つあります。

1. 風邪(ふうじゃ)によるもの
2. 肌膚の瘡毒(そうどく)
3. 水質の浸漬(しんし)
4. 飲食の不摂生
5. 過労

1はカゼを引いたときなどのむくみで、2は肌トラブルから起こるむくみ。湿疹やアトピー性皮膚炎などで起こるむくみとお考えください。3は長い間湿度の高いところにいる、住むなどした場合によるもの。
そして、もっともよく見られるのが4と5。飲食の不摂生と、過労によるむくみです。

飲食の不摂生では、過食が痰湿という処理できないドロドロを体内に蓄積させることで、胃腸がよわり、水分を吸収・排出する機能が低下したためと、栄養物質が足りない食事を繰り返したため、胃腸が弱り、水分代謝低下を招いたものがあります。まず食べているものを見直し、胃腸への負担を軽減することが第一となります。

胃腸負担になる食べ物は、油っこくて味の濃いもの、甘いお菓子、生もの、冷たいもの、過剰な水分などです。特に昨今はペットボトルを持ち歩き、常に水分を摂っている方がよくいらっしゃいますが、そういう場合も胃腸機能低下からのむくみということがよく見られます。

もし一日中何かを飲んでいるようなら、一旦辞めて、喉が乾いたときに暖かいものを一口ずつ飲むようにしてみてくださいね。テレワークが増えて、パソコンを触っている機会が増えているかとも思いますが、その間ずっと飲み物を傍らに置き、何度もおかわりしながら飲み続けてるのは良くないですよ。

過労によるものでは、過労が胃腸を動かす力、脾気を弱めてしまい、体内の水分代謝が低下し、むくみになると考えます。不要な水分を排出する力が低下した状態です。疲労感を伴い、軟便や下痢、食欲不振などの随伴症状もみられます。

この場合は、まずしっかり休息をとることが大事です。余った時間で休むのではなく、休む時間をしっかりスケジュールに組み込んだ上で働く、遊ぶなどをしましょう。

基本的には規則正しい生活を心がけ、むくみの初期には減塩を意識し、過労をさけるというのがむくみ対策では大切ですね。

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櫻井大典

国際中医専門員・漢方専門家
北海道出身。好きな季節は、雪がふる冬。真っ白な世界、匂いも音も感じない世界が好きです。冬は雪があったほうが好きです。SNSにて日々発信される優しくわかりやすい養生情報は、これまでの漢方のイメージを払拭し、老若男女を問わず人気に。著書『まいにち漢方 体と心をいたわる365のコツ』 (ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)など。

櫻井大典|ゆるかんぽう

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