こんにちは。気象予報士の今井明子です。
温かい日と冷え込む日が交互に訪れる今日この頃。ときには春一番のような強い南風が吹いてびっくりすることもありますよね。
さて、今回はこの季節に日本列島を襲う「メイストーム」についてお話しします。
メイストームとは、別名「春の嵐」とも呼ばれ、ちょうど3月から5月頃に日本列島付近を訪れる温帯低気圧によって引き起こされる激しい気象現象のことを指します。ちなみに、メイストームという言葉自体は和製英語です。

この時期の温帯低気圧は、短時間で急に発達しやすいのが特徴です。特に中心付近の気圧が24時間で15.9hPa以上(※)下がるような、急激に発達する温帯低気圧のことは、ときに「爆弾低気圧」とも呼ばれることもあります。
非常に発達した温帯低気圧は、等圧線がグルグルと中心を取り囲みます。等圧線の間隔が狭くなると、それだけ風が強くなるので、非常に強い風が吹くこともあります。
嵐と聞いてすぐに頭に思い浮かぶのは台風です。
温帯低気圧は台風とは構造が違いますが、この時期は油断できないほど発達します。

台風は熱帯の海で発生してから日本に接近するまで数日かかるので、接近するまでに食料の調達や窓ガラスの補強など、ある程度備えておくことができます。しかし、温帯低気圧は1~2日で急激に発達するので備えが間に合わない可能性があります。また、温帯低気圧は雨や強い風の範囲が台風よりも広いのも特徴です。
メイストームによって、しばしば高波や吹雪などによる犠牲者の報道が出ます。
たとえば海岸にいれば波にさらわれますし、沖に船で出ていれば船が転覆するおそれもあります。もちろん、海辺だけでなく、地上であっても油断はできません。強い風にあおられて車や電車が横転することがあります。また、まだこの時期は北国や雪国では雪があるので、ホワイトアウトによる事故も発生しやすくなります。

低気圧と聞くと、「まあ、いつもやってくる低気圧でしょ」と油断してしまいがち。でも、「メイストーム」という言葉なら、もう少し警戒感が高まりそうですね。この季節は低気圧が通過しそうなときは天気予報をこまめにチェックして、急激に発達しそうならなるべく外出を控えて安全に過ごしたいものです。
※北緯35°の名古屋の場合。爆弾低気圧の定義は、正確には、「温帯低気圧の中心気圧が24時間で 24 × sinφ/ sin60°以上下がる」となります。つまり、北緯40°の秋田なら17.8hPa/24h以上気圧が低下すると爆弾低気圧と呼ばれます。なお、爆弾低気圧という言葉は気象庁の正式な気象用語ではないため、天気予報では使われません

今井明子
サイエンスライター・気象予報士
兵庫県出身、神奈川県在住。好きな季節はアウトドア・行楽シーズンまっさかりの初夏。大学時代はフィギュアスケート部に所属。鯉のいる池やレトロ建築をめぐって旅行・散歩するのが好き。
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