はじめまして。野菜をこよなく愛する料理人の川口屋薫です。
今回はウドのお話です。
春の訪れを知らせる山菜の仲間で、芳香でほのかに苦味としゃきしゃきした食感のある粋な味は、冬から身体を目覚めさせるともいわれています。旬の野菜を食べるのは心身ともに良いことが頷けますね。
山に自生しているウドは2、3mほど成長します。茎は固くて食べられず、木材の用途にはやわらかすぎて使えないことから、「ウドの大木」のように大きいだけで何の役にも立たない人の例えに使われ、風もないのに独りで動いているようにみえることから独活と表記されているそうです。
ウドはフキ、三つ葉、ふきのとう、わさびなどと共に数少ない日本原産の野菜です。

平安時代には貴族に好まれ、栽培方法は京都から尾張(現在の愛知県西部)、そして江戸時代末期に東京に伝わり、春の味覚は庶民に広まりました。しかし、第二次世界大戦が始まると一時期途絶えてしまいました。戦況の中、ウド農家の高橋米太郎さんが種芋貯蔵用に使われていた穴蔵「ムロ」でひっそり栽培を始めました。地下3mの深さがあり、光が入らない真っ暗闇で年間を通して16度という気温はウドの生育環境にほぼ適していたそうです。
土が付いておらず真っ白でまっすぐな太いウドは、昭和23年に東京市場に初出荷し卸売業者から高い評価を受けました。
武蔵野一帯は関東ローム層の頑丈な地層で、この「ムロ」はどこの農家にもあったので、新しい栽培法は取り入れることが出来ました。東京ウドの生産は今も江戸伝統野菜の一つとして流通しています。
しかし東京ウドはスーパーや八百屋さんではほぼみかけません。なぜなら規格は長さ80cmのため、とても長い!持ち帰りにくいことと、光に当たると変色してしまうからです。

そこで、新しい規格は長さ約50cm。地下ではなく、ハウスに床どこを作り籾殻を被せて光を当てずに栽培する山ウドが誕生します。
芽を出した部分のみ最後に光を当てて緑化させます。そうすると香りが強くなるそうです。
選ぶポイントは、出来るだけ白く、まっすぐで太く、枝分かれが少なく、皮についている産毛がしっかりして、触って固さを感じること。
生のしゃきしゃき感とほのかな苦味と香りを楽しみサラダを作りました。
ウドと柑橘の旬サラダ

材料(2人前)
- 山ウド ⅓本
- 土佐文旦または八朔 ⅓個
- 塩昆布 3g
(A)ドレッシング
- ミントの葉 5枚
- オリーブオイル 大さじ1
- 白ワインビネガー 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- 塩 小さじ¼

作り方
①山ウドは皮を向いて薄く短冊切りして半分に切ります。酢水に5分つけてあく抜きしてから、キッチンペーパーでよく水気を拭き取ります。
②柑橘は薄皮と種をとり、軽くほぐします。
③ミントの葉は細かくみじん切りにして、ボールに(A)の材料と一緒に入れてよく混ぜ合わせます。②を加えて軽く合えます。
④お皿にウドをこんもりのせてから、周りに③を添えるように盛り付けて完成です。
お皿に柑橘の皮と刻んだミントを散すと、春らしい飾りになります。
ポイント
あく抜きは約5分。あまり水に浸けすぎると水っぽくなり、風味が逃げてしまいます。
水300ccに酢小さじ1
(目安中サイズのボールに水半分に酢小さじ1)
切って直ぐに酢水に浸けてください。
あく抜き後は、色々な調理に使えます。
食べてみると、ドレッシングで合えた柑橘の酸味とぷりっぷりっの食感がよく合いました。
名前は知っているけれども、買って料理する馴染みはあまり無いかもしれません。
でも、天ぷら、きんぴらなど和食の他に、サラダ、パスタ、スープなど、普段のおうちごはんに色々使える万能選手。春の香りを食卓で味わってみませんか?

川口屋薫
料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁
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