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こんにちは、料理人の庄本彩美です。今日は日本のハーブのひとつである「三つ葉」のお話です。

実家からの野菜の仕送りは、この時期が一番心躍る。
昔駆け回った山で取れた筍や椎茸に、そろそろモンシロチョウが飛んでいるであろう畑で育った、瑞々しいサニーレタスや新玉ねぎ。庭先で見つけた時には驚いた、ひょろひょろのアスパラガスなど、沢山の春が詰め込まれているのだ。ひとつひとつ野菜を取り出しては、ここ数年帰れていない実家の風景に思いを馳せる。

新聞紙に包まれた一番小さな塊を見つけて開けてみると、そこには三つ葉が数本並べられていた。
「あれ?うちでも三つ葉、育つんだ。」
子どもの頃の記憶を辿っても、実家に三つ葉が生えていたのを覚えていないが、無理もない。
この三つ葉がスーパーの三つ葉と同じだと認識したのは数年前のことだからだ。

ちょうど今時分、先輩の貸し農園に手伝いに行ったことがあった。それぞれの畝(うね)に借り手の性格が現れるように、ピチッと台形に畝が整理されている畑もあれば、野菜も草も巨大に育って自然にお任せな所もある。
これから成る野菜の想像をしながら共有の道端を歩いていると、先輩が「それ、三つ葉だよ」と私の足元を指さした。
「えっ?」と下を向いたが、時すでに遅し。思いっきりその草を踏んづけていた。

パッと見る分には、普通の雑草だ。だが、よく見ると確かに1本の茎に3枚の葉が付いている。私の知る三つ葉とは、大きさも茎の太さも、色も明らかに違う。大きいものだと、葉が手のひらサイズほどもある。
何より、とてつもない勢いで辺り一面に生えている。「料理では上品な使い方をする割に、なかなかワイルドに育つんだな…」と、私は野生の三つ葉と衝撃の出会いを果たしたのだった。

「実家でも、気がつかずに踏んでしまっていたかもしれないな」と反省しつつ、届いた三つ葉をさっと洗ってまな板へ並べた。
三つ葉を手に入れたなら、私は「茶碗蒸し」を作ると決めている。
私にとって茶碗蒸しは、今でも鮮明に思い出す、子どものころの食の記憶のひとつである。

実家の広間の座敷に、コの字型にずらりと並べられたお膳たち。真ん中のお坊さんを筆頭に左右に名前も分からない親族のおじさんたちが談笑している。
仕出し屋さんが朝一に運んできた豪華なお弁当だけでもお腹いっぱいになるのに、奥の台所では祖母と母を筆頭に、親族のおばさんたちが集まって、てきぱきと散らし寿司やなますが作られていく。
法事の一大イベントの裏で台所で交わされる、女性たちだけのワイワイとしたこの空間。私はそこに混じってお手伝いをするのがこの上なく好きだった。

水玉柄の青いポリ風呂敷にお弁当と残ったお寿司を包んで、親族たちが帰るのを見届けた後、私は必ずいの一番に祭りの後の広間へ向かった。そして余った席の茶碗蒸しを集めて、お盆に乗せて台所へ持ち帰った。
大人たちが片付けている間に、ささっと頂くこの茶碗蒸しが、たまらなく好きだった。茶碗蒸しに添えられた三つ葉の爽やかな香りは、私のご褒美の記憶だった。

三つ葉といえば、お雑煮やお吸い物で可愛らしくくるっと結んで浮かべられている「結び三つ葉」がある。「縁を結ぶ」という意味から縁起が良いとされ、祝いの席でよく見かけるものだ。
茶碗蒸しにも添えられることがあるが、実家から届いた三つ葉は、春の日差しを浴びて、茎も葉もみっちりと育っている。結んで飾るにはちょっとゴツすぎる。私は包丁で刻んで飾り入れた。

香りを嗅ぐことにより、その時の記憶や感情が蘇る事を「プルースト効果」と呼ぶそうだ。
料理から懐かしい記憶をリアルな感情と共に思い出す人も多いだろう。
三つ葉はいつでも私に、大切な食の記憶を思い出させてくれる。
出来上がりを楽しみにしながら、私は蒸し器の蓋をそっと閉めたのだった。

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庄本彩美

料理家・「円卓」主宰
山口県出身、京都府在住。好きな季節は初夏。自分が生まれた季節なので。看護師の経験を経て、料理への関心を深める。京都で「料理から季節を感じて暮らす」をコンセプトに、お弁当作成やケータリング、味噌作りなど手しごとの会を行う。野菜の力を引き出すような料理を心がけています。

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