こんにちは。科学ジャーナリストの柴田佳秀です。
さて今回のお話は、だれもが知っている鳥のフクロウです。
どうして5月の旬な鳥がフクロウなのか…。それは、ちょうどこの頃がフクロウの巣立ちの時期だから。木の幹にあいた穴の巣から、ふわふわの白い綿羽に包まれたかわいい雛が顔を出すのが、関東地方ではだいたい5月頃なのです。
私がときどき観察する巣では、きまってゴールデンウィークの頃に巣立ちます。巣は、高さ40mにもなる巨木にあります。その木の30mほどの高さに穴があり、毎年フクロウが子育てをしています。観察は見上げるかっこうになりますから、首がものすごく痛くなって大変です。でも、雛の顔が見られれば、その苦痛もなんのそのです。

フクロウにとって、巣を見られることはストレスになるので、観察は基本遠慮するのがマナーです。ただ、幸いこの巣の穴は、木のとても高い所にあり、人との距離が十分にとれる状況にあるため、あまり影響を与えることなく観察できる貴重な場所なのです。また、地元の方が見守ってくれていることもあり、もう20年以上ずっと子育てが続いています。
フクロウは、山奥のうっそうと茂った森にいる鳥のイメージがありますが、実際は人里近くの林に生息する身近な鳥なんです。田畑などの開けた環境がある人里は、獲物のネズミが捕りやすいので暮らすのに都合がいいんです。うっそうと茂った森の中では、藪がじゃましてネズミが上手く捕れませんので、暮らすのにはあまり向いていません。
そんな身近な鳥にもかかわらず、野生のフクロウを見たことがある人は、そう多くないようです。例えば、SNSでフクロウを検索してみても、ペットや動物園のフクロウ類の写真はたくさん出てきますが、野生のものはほとんどありません。

身近にいる鳥なのに、どうしてフクロウを見ないのでしょうか?
それは夜の鳥だからです。真夜中が彼らの活動時間なので、よほど注意を払っていないと暗闇の中で見つけるのは至難の業です。さらに羽ばたいても音がしないので、仮に近くに飛んできても羽音で気がつくことができません。
じゃあ、昼間に見つければと思いますが、これがまた大変。昼間は、高い木の枝にとまって寝ているのですが、体の色や模様が樹皮にそっくりなので、じっとしていると風景に溶け込んで、どこにいるのか本当にわからないのです。

そんな見つけるのが至難の業のフクロウですが、ひとつだけ存在を知る方法があります。それは夜に聞こえる鳴き声です。
フクロウといえば「ホーホー」と鳴くと思われがちですが、これは大きな誤り。実際には、「ホッホー、ゴロッホ、ホッホ」と鳴きます。昔の人はこれを「ボロ着て奉公」と聞きなしたそうです。言われて見ればそんな風に聞こえなくもありません。
かなり大きな声で鳴くので、この声を頼りに探せば見つかるかも知れませんが、それでも暗闇で姿を見つけるのは難しいので、私は鳴き声だけで満足するようにしています。夜、森から聞こえてくるフクロウの声は、とても神秘的で一度聞いたら忘れられないものです。


柴田佳秀
科学ジャーナリスト・サイエンスライター
東京都出身、千葉県在住。元テレビ自然番組ディレクター。
野鳥観察は小学生からで大学では昆虫学を専攻。鳥類が得意だが生きものならばジャンルは問わない。
冬鳥が続々とやってくる秋が好き。日本鳥学会会員。
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