メロン

旬のもの 2021.06.30

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最近、食卓の料理にキュウリが並んでいませんか?
水分たっぷりのキュウリは、暑さで、ほてった私達の体をひんやりさせてくれます。夏の絵葉書に必ずと言っていいほど描かれるスイカも涼をとれる食べ物です。

今回は、植物学的にはスイカと同じ瓜科、キュウリ属で、農林水産省では「果実的野菜」と分類されていながら、流通分野や食生活では果物、旬を迎えたメロンのお話です。

メロンの歴史は古く、弥生時代には白肉メロンのマクワウリの種が日本で発見されています。果肉の種類は、他に青肉メロン、赤肉メロンの3種類があります。中でも高級メロンで有名な「マスクメロン」は、明治時代にイギリスから伝わりました。マスクはクレオパトラがローマの権力者アントニウスを魅了したムスクの香りからきています。ムスクはオスの麝香鹿(じゃこうじか)から得られる分泌液からつくられます。麝香のように良い香りがするメロンはどのように栽培されるのでしょうか?

メロン栽培専用のガラス温室は、陽光を最大限に取り入れ、全体の葉に光が当たるように設計されています。「温室メロン」とも呼ばれていて、苗を定植してから約3カ月から4カ月で収穫できます。マスクメロンなど高級メロンの場合、1株に1個の実を残して、他は摘果します。そうすることで、1個の実に栄養を集めて、最高品質の味をつくります。

1個、数万円になり損なった摘果メロンはちょっと残念ですが、「子メロン」と名付けられて、流通しています。キュウリより水っぽくなく、ほのかなメロンの香りと瓜らしいみずみずしさがあり、主に浅漬けに使われます。

子メロンは、すべすべの肌です。メロンをイラストで描く時につける網目模様は、「ネット」と呼ばれていて、成長過程と大きく関係があります。

写真提供:川口屋薫
写真提供:川口屋薫

メロンの成長期に果肉と果皮の伸長率のずれによってひび割れがおきます。
果肉の方が早く大きくなろうとして、果皮がひび割れます。その部分を塞ぐ分泌物によって、網目が形成されていきます。網目の細かく盛りあがった模様が良いとされるのは、栄養をしっかり蓄えたからこそ、修復を繰り返して、成長できている証。ネット系メロンを選ぶときのポイントです。

食べごろのポイントは、T字型のツル(蔓)がしなびたように枯れている、香りが強くなっている、底がすこし柔らかくなったような弾力があることです。

ツルがあると見た目は立派なのですが、傷まないように大箱が必要になり、コストもかかってしまいます。そのためハウス栽培や露地栽培のメロンもツルを切って出荷するほうが多いです。

品種改良や栽培技術の向上で、甘くて香りのよい種類が増えました。青肉メロンではアンデスメロンやタカミメロン、アールスメロン、赤肉メロンではクインシーメロン、白肉メロンではホームランメロン、パパイヤメロンなどがあります。ツルなしも味は変わらず、価格はお手頃です。

ホームランメロン

メロンを買ったけれど、追熟が足りなかったせいか、甘さが少し足りないという時におすすめの食べ方があります。イタリア料理の夏料理「生ハムメロン」です。
生ハムはメロンの青臭さをとり、塩気で甘さをより引き出します。
生ハムと一緒に旬のメロンで涼をとってみませんか?

写真提供:川口屋薫
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川口屋薫

料理人
Le btagev(ルブタジベ)代表。大阪出身。料理人。珍しいやさいの定期便をしています。風薫る季節5月が過ごしやすくて一番好きです。イタリア在住中、ヨーロッパ野菜に恋し、日本の野菜が恋しくなったのをきっかけに野菜に関わる仕事をしています。 趣味 囲碁

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