スイカ

旬のもの 2021.08.04

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おはようございます、こんにちは。エッセイストの藤田華子です。

一人暮らしのころも夫とふたりで暮らすいまも、私にとってずっと憧れの存在、それは大玉スイカです。
両手でやっと持てるくらいのスイカは食べ切れなさそうで、かといってカットされているものを買うのでは気分が出ない。友人の家に行くときや実家に帰るとき、ここぞとばかりに、大玉のスイカを用意するのが夏の楽しみです。

スイカを抱えて歩くのは重いけど、クリスマスにケーキを持って家に急ぐような、バレンタインのデートでチョコレートを持ち歩くような、そんなピュアな幸せと通じる気がします。

さて、身近にあるけれど意外と知らないスイカのことを、今日は探っていきましょう。

スイカは、アフリカの砂漠地帯で2500万年以上も前に誕生したといわれています。スイカの原産地がアフリカだということも、歴史の古さもびっくり。そして栽培が始まったのは、およそ4000年前のエジプト。エジプトにある壁画には、そのころスイカを栽培しているシーンが描かれているそうです。

日本にスイカがやってきた時期は特定が難しく、平安〜室町時代という説が多いそうです。唐文化と交流が盛んだった年代から推察しても、中国からスイカが渡来したと考えられます。『鳥獣戯画』のウサギが持っている果物の中に縞皮スイカらしいものが見られるんだとか。江戸時代に入ると、『農業全書』(1696)に「たねに色々あり。じゃがたらと云うあり。肉赤く味勝れたり」と、すでにそのころ品種らしきものが記されています。

…と、ここまで書いていたら食べたくなってしまい、小玉スイカを八百屋さんで買ってきました(笑)。私はちょっとだけ塩をかけて食べる派ですが、世界では各地オリジナルの食べ方があるみたいです。

  • ギリシャ:フェダーチーズをスイカに添えて食べる
  • イタリア:レモン汁をかけて食べる
  • フィリピン:砂糖をかけて食べる
  • 南米:チリソースをかけて食べる

ためしに、イタリアとギリシャの食べ方に倣ってレモン汁とチーズをトッピングしてみました。どちらもフレッシュな味わいで、これまで果物と捉えていたスイカが夏野菜のように。海外旅行はまだまだお預けですが、少しだけ夏の小旅行をした気分になれました。

最後に、スイカにまつわる好きな短歌をご紹介します。

ふとももに西瓜の種をつけたまま畳の部屋で眠っています(『水中翼船炎上中』穂村弘)
嫁として帰省をすれば待ってゐる西瓜に塩を振らぬ一族(『猫は踏まずに』本田真弓)

みなさま、素敵な夏をお過ごしください。

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藤田華子

ライター・編集者
那須出身、東京在住。一年を通して「◯◯日和」を満喫することに幸せを感じますが、とくに服が軽い夏は気分がいいです。ふだんは本と将棋、銭湯と生き物を愛する編集者。ベリーダンサーのときは別の名です。

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