夏の暑さがピークにさしかかってきましたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
年々、徐々にではありますが、夏が暑く、そして長くなっているというデータもあるようですので、くれぐれも熱中症にはお気をつけください。
さて今回は、身近ながらも徐々に変化している魚「マイワシ(真鰯)」をご紹介します。
かつてマイワシは「庶民の味方」と呼ばれ、日本の食卓に寄り添った魚の代表でもありました。
栄養満点かつ安価なため、日本の食文化には切り離せない存在であったことに間違いありません。
しかし今では漁獲量が大幅に減ってしまい、大衆魚とはいえなくなりつつあるようです。
その理由としては諸説あるようですので明言はできませんが、個人的には食物連鎖の周期が関係しているのではないかと予想しています(一定の周期で魚の数が上下する)。
マイワシは主にプランクトンなどを食べて生活していますが、海の魚の食物連鎖でいえば一番下辺りに位置する魚です。
常に肉食性の大型魚から追われるため、大きな群れで行動することでも有名です。
この行動は自分たちの姿を大きく見せて威嚇するためのもの(スイミーのような)ではなく、襲われたときに多少の犠牲を払ってでも生き残るための生存戦略といわれています。
大きな群れで行動することで、一部の仲間が捕食されている隙にその他大勢は逃げることができるわけです。なんとも残酷ですが、生命の神秘すら感じられますね。
魚釣りをしている最中に、イワシが大型魚に襲われる場面に遭遇したことが何度もあります。
イワシの体の表面は柔らかいため、大型魚に襲われるとすぐに鱗が剥がれ落ちてしまいます。
イワシの鱗はラメのようにキラキラしていることもあり、剥がれ落ちた鱗は海の中に拡散されて一面に幻想的な光景が広がります。
このキラキラした鱗は煙幕となり、その隙に無傷の個体は逃げているという説もあるようです。
本来、鱗は肌を守るために丈夫であるはずですが、イワシの鱗の剥がれやすさをみると、それもまた種を残すための生存戦略の一つなのではないかと感じます。
漢字では「魚へんに弱い(鰯)」と書くイワシですが、それらの生態を知ると決して弱い魚と思えないのは私だけではないはずです。
これからの時期は脂が乗りマイワシが美味しい季節でもありますので、鮮魚コーナーで見かけた際には、ぜひマイワシに注目してみてはいかがでしょうか。
吉村良太
コンテンツエディター・釣りと料理が好きな会社員
好きな季節は実りの秋。心地よい気温や澄んだ空気、そして冬を前にした哀愁もたまらなく好きです。魚は冬を乗り越えられる脂肪を蓄えるために荒食いをする季節でもあります。旬の魚に興味を持っていただけたら幸いです。
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