街中の紅葉が一気に進み、ふとした風の匂いに、いよいよ秋から冬の入口に立ったような気持ちになる今日このごろです。
この時期に旬を迎えるフルーツのひとつに「みかん」があります。
「こたつ×みかん」は日本の冬の風物詩ともいえる光景ですが、今回はみかんの皮を使った「みかん湯」をご紹介します。
季節湯とは?
四季折々の旬のものを取り入れたお風呂のこと。 旬の植物を湯船に浮かべることで、そのパワーを全身で享受しながら季節の変化を楽しむ、日本に古くから伝わる入浴文化。平安時代に弘法大師・空海が医療用の薬湯として「薬草風呂」を広めたのがルーツとされています。※諸説あります
みかんの皮は、漢方の世界では「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれ、風邪の諸症状改善やリラックス効果が期待できるとして重宝されてきた生薬です。陳皮の「陳」には「古いもの」という意味があり、年代物ほど優れた薬効があるとされていて、実際に生薬として使用されるのは、1年以上乾燥させたものだといいます。
それ以外にも、まだ青いみかんの皮を乾燥させたものを「青皮(せいひ)」、熟れてオレンジ色になった皮を乾燥させたものを「橘皮(きっぴ)」と呼び、それぞれが漢方に用いられます。それほど、みかんのもつパワーは優れているのです。
爽やかな香りでリラックスできる「みかん湯」
みかんの皮を剥くとふわっと香る爽やかな柑橘の香り。あの香りの正体は「リモネン」という精油成分です。リモネンにはリラックス効果があるとされ、アロマオイルなどにも使われています。精油成分には毛細血管を広げ、血行を促進する作用もあるため、体を芯から温め、寒さで縮こまった筋肉やからだを開放してくれます。
生薬の「陳皮」は1年以上乾燥させますが、自宅で「みかん湯」をたのしむ場合には、一週間ほど風通しのいい日陰で乾燥させればOKです。
乾燥させた皮は布袋やネットに入れて、浴槽に浮かべましょう。
一度乾燥させた皮は、密閉容器に乾燥剤と一緒に入れておけば保存ができます。「みかん湯」以外にも、ハチミツに漬けたり、お茶にしたり、粉末にして料理に使ったりと陳皮の活用方法は多岐にわたります。
これからみかんのおいしい季節を迎えます。食べ終わったみかんの皮は捨ててしまわず、ぜひ活用してみてください。
木村衣里
編集者・ライター
北海道函館市出身。Web系編集プロダクションを経て2018年7月に独立。フリーランスの編集ギルドチーム「Huuuu」所属、「東京銭湯 - TOKYO SENTO -」元編集長。全国を取材で飛び回りながらいろんなお風呂にはいるのが好きで、動物はもっと好き。この世で一番愛らしいのはカバだと思っています。
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